地球温暖化とフグ
よしをです。
奇妙なタイトルだと思われるでしょうが、
昨今の気象状況の変化によって、漁場が変化してきているという話です。
今年は、昨年大不漁だった、サンマやサケが豊漁だそうです。
それはそれで、大変結構な話ですが…。
今回は、冬の味覚・フグの話です。
豊漁、不漁は、海流の変化に左右されることが多いのですが、
海水温度の上昇により、本来、温暖な海にいるはずのトラフグが、
この時期(真夏)に、
東北沖や、北海道沖で、獲れるようになったというのです。
フグの王様・トラフグは、温暖を好む魚です。
太平洋側では、遠州灘や、五島沖などが、主な生息地で、
産卵期になると、流れの緩やかな湾内や、浅瀬に入ってきます。
最近、北海道沖で獲れるようになったトラフグは、
おそらく、遠州沖などから、温かい海流に乗って、流れてきたのでしょう。
産地の変化は、漁業関係者にとっては大事件です。
天然のトラフグといっても、今や100%天然というのは減ってしまい、
産卵場である、湾内の漁協は、
卵を人工孵化させて、稚魚を放流しています。
「大きくなったら、戻っておいで」
戻ってくるのではなく、北の方へ流れてしまうのでは、
漁師はがっかりです。
産地の変化のほかに、調理に関しても、困った問題があります。
フグの調理は、国家試験ではなく、
都道府県単位で、認可されるのですが、
それぞれ、受験資格や試験の内容も異なり、
講習を受けるだけで、調理を許可している自治体が、
北海道を含めて、なんと28道県もあるのです。
「取り扱い条例」など、厳しい条件をつけているのは、
残り19都府県に過ぎません。
28道県では、講習だけで、ほとんど実地経験のない料理人が、
調理しているという現状なのです。
ちなみに、北海道のフグ料理店を検索すると、
「結構あります」
今年のニュースですが、
山形県の料理店で、フグを食べた7人が中毒症状をおこし、
2人が意識不明の重体となったそうです。
店の経営者は、フグを捌いたのは、初めてだったというのですが…。
これが、違法ではないというのですから、大問題です。
もうひとつ、危惧されているのが、
フグの雑種が増えている、というニュースです。
ゴマフグ(食用可能 皮に毒)と、
ショウサイフグ(食用可能 皮と筋肉に毒)との雑種で、
ゴマフグとの違いは、ほとんど判別できないといいます。
原因は、ゴマフグの生息域の拡大です。
ゴマフグは、主な生息域である日本海から、
温暖化の影響で、太平洋側に生息域が広がり、
ショウサイフグとの交雑が、おこっているといいます。
水産大学の調査によれば、
「雑種は、6年ぐらい前から急激に増え、水揚げの2割ほどが雑種である」、
という報告がされています。
また、瀬戸内海では、出自不明の雑種フグや、
日本海側では、トラフグとマフグの雑種も発見されています。
雑種フグは、毒の部位が判明していないこともあり、
食用にされる際には、注意が必要だということです。
早急に、全国統一の資格制度をつくらなければ。
それから、雑種対策も。
今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。