ゼネコンの談合がなくならない訳
よしをです。
今年3月、
総工費9兆円にのぼる、
リニア中央新幹線の建設工事に関して、
独占禁止法違反の罪で、
ゼネコン4社が起訴されました。
この例にもれず、ゼネコンの談合は、後を絶ちませんが、
なぜ、談合がなくならないのか、そして、もし、なくせるとすれば、
その方法について、検証したいと思います。
大型プロジェクトの発注は、以下のようになっています。
①工事には、企画・調査・設計・施工という、4つの段階がある
②企画~設計までは、入札前の段階から、各社が自前でおこなう
③各社は、工事のプラン、金額を提示して入札する
④落札した会社が、施工をおこなう
さて、この流れで、注目しなければならないのが、②です。
②は、いわゆるコンサルティング料金にあたりますが、
基本的に、②は、落札如何に関わらず、各企業の負担、
つまりは、タダ働きというわけです。
これは、建設業に限ったことでなく、
たとえば、広告の世界でも同じです。
たとえば、自治体がポスターを制作する場合、
入札でデザイン会社を選択するのですが、
デザイン会社は、実際にデザインを作成して、
プレゼンテーションします。
この場合、デザイン料は、各社の「持ち出し」であり、
落札したデザイン会社も、作品そのものの対価はもらえますが、
デザイン料は、払ってもらえないことになっています。
行政(民間企業でも、同様の傾向があります)は、
デザインや、コンサルティング料など、
目に見えないサービスに、対価を支払うという発想がないのです。
これが、談合を生む、諸悪の懇願だと考えます。
大型工事の談合システムを、もう少し、堀り下げてみましょう。
②のタダ働きは、企業に経済的な負担をかけますから、
「落札できないなら、無駄な経費をかけたくない」、
と考えるのは、ごく自然な考えでしょう。
したがって、②で「汗をかいた」企業に、受注を譲って(いわゆる忖度)、
その代わりに、工事の一部を請け負うという考え方も、ごく自然です。
このようにして、談合が生まれます。
やがて、各社の間で、貸し借りが生まれ、
ゼネコン各社で大型受注を、
ぐるぐる回すというカルテルが生まれます。
また、ゼネコンといえども、工事の内容によって、
得手・不得手があり、
トンネル工事が得意な会社、橋を得意分野としている会社など、
各社には、技術的な特徴があります。
リニア新幹線のように、
困難が予想される、南アルプスのトンネル工事に、
自信をもっているゼネコンは、1社か2社に、限られるのです。
各社の得意分野を勘案して、
ゼネコン各社は、入札前に協議をして、調整しているわけで、
かかる金額はともかく、
談合が、安全で確実な工事をおこなうために、
合理的な運用をしている、という側面もあるのです。
さて、前述のように、日本では、ある種の伝統として、
コンサルティング料などの、
「ソフトフィー」を支払う発想がないのですが、
この談合問題への対策として、②を各社の自前にせず、
相応の対価を支払い、
入札によって、施工業者を選定するという形にすれば、
おそらく、談合はなくなるはずです。
①立地調査・路線ルートと駅舎立地の決定
②地盤調査・必要な技術の検討
これらを入札から分離した結果、
総経費も、削減する可能性があると思います。
6兆円の1%の600億円をソフトフィーとして計上するだけで、
健全な競争意識が働き、よりよい工事になると考えますが、
どうでしょうか。
行政の都合もあるでしょうが、
もし、わたしの提案のような改革が不可能であるなら、
「談合は、悪いことではない」
という考え方もできると思いますが、暴論デスカ?
今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。