飲食店起業の難しさ
よしをです。
以前、50代で脱サラをし、
飲食店を経営していた人と、話をする機会がありました。
「していた」というのは、現在は経営をやめ、
サラリーマンに戻ったという意味です。
その人は、奥さんと2人で、居酒屋を始めました。
店は、それなりに繁盛していたそうですが、
理由があって、3年後に、商売をやめてしまいました。
お店の運営について話を伺うと、以下のような答えが返ってきました。
①体力勝負で、休みがまったくなかった
②売上はそこそこあったが、利益があまりなかった
それぞれ、詳しく聞きました。
①について
店は、週休1日(月曜日休み)で、営業時間は18時~23時でした。
1日のスケジュールは、
午前8:30 起床
午前9:30 自宅を出発
午前10:00 居酒屋にて、店の掃除、仕込みの作業
午後6:00 営業開始
午前0:00 営業終了
午前2:00 片付けや、翌日の準備(一部)
午前2:30 帰宅
午前3:30 就寝
このスケジュールだと、睡眠時間は、1日5時間しかありません。
料理の仕込みについては、
夫婦で交代しながら、お互いに途中で仮眠をとったり、
できるだけ短くするなどの工夫をしていたらしいですが、
食事の時間が不規則になったり、立ち仕事で体が辛かったりで、
奥さんが先に体調を崩してしまいました。
その後、アルバイトがなかなか見つからず、
ご主人がほとんど1人で営業を続けるなど、随分粘ったそうですが、
とうとう、ギブアップせざるを得なくなってしまいました。
②について
要するに、利益率が低くなってしまったわけですが、
その大きな原因は、仕入コストです。
大きな店であれば、材料の仕入れも一括になり、値引きがききますが、
個人の店では、そうはいきません。
原材料が1%違っていても、利益は大きく変わります。
しかも、この店では、
目玉商品として、原価の高い料理を提供していたことから、
さらに、収益は下がっていきました。
目玉商品は、店の繁盛の一因であり、中止する訳にはいきませんでした。
結局、店がいくら繁盛しても、自分の給料分の利益が出せず、
「何のために、店をやっているのか、わからない状態」になりました。
これが決定打となり、お店を畳むしか、道がなくなってしまったのです。
反省の意味を込めた、かれの起業のアドバイスは、
・まずは副業、ダブルワークから始めたほうがいい
・初期投資の少ない起業が望ましい(飲食は難しい)
・どうしても飲食業、という場合は、できるだけ手作業でなく、機械を導入する
・客単価を上げる(=客数を抑制する)ことが必要
・家族(夫婦)経営ではなく、自分1人でやれる仕事を選択する
かれの知り合いで、趣味が高じて、蕎麦屋をはじめたという人は、
手打ちにこだわって、機械を使用することを拒んだ結果、
腱鞘炎がひどくなって、廃業したということです。
飲食業の難しさを思い知らされるエピソードです。
今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。