無尽
よしをです。
以前、テレビのバラエティ番組か何かで、
山梨県には、現在でも、「無尽(むじん)」がおこなわれている、
という話題を、耳にしていました。
無尽は、別名で、頼母子講(たのもしこう)とよばれている、
民間の互恵互助会のような仕組みです。
無尽の起源は古く、鎌倉時代にまで遡り、
江戸時代には、仕組みが完成しました。
仲間同士が資金を出し合って、会員の相互扶助をすることのほかに、
寺社の改築や、橋や堤防などの、公共事業にも使われたようです。
明治時代には、営利企業となり、業法が定められました。
一定の掛け金を払い込み、1口ごとに抽選、入札するなどの方法で、
掛金者に、金銭以外の給付(無尽給付)をする仕組みです。
(たとえば、100円の掛け金で、150円分の農産物がもらえるなど)
このような会社のことを、無尽会社といいます。
相互銀行(のち第2地銀)へ移行しましたが、
現在も1社だけ、存続しているそうです(日本住宅無尽株式会社)。
山梨県出身の人に、話を聞いてみたところ、
無尽は、今でも、実際にありました。
近所の寄り合いや、趣味、同級生やボランティアなどの仲間が、
定期的に集まり、一定の金額を集金して、宴会をやっているようです。
甲府市内の居酒屋では、
「無尽、承ります」といった看板も、よく見かけるそうです。
ほとんどは、「飲み無尽」、「旅行無尽」といった、
会員制の積み立てが中心ですが、
お金を融通しあう、本来の意味での無尽に近いものも、
山梨には、まだ残っているそうです。
その仕組みは、以下の通りです。
会合で定額を集め、参加者の一人が、全額を受け取ります。
たとえば、メンバーを10人として、会費を1万円とすると、
くじ引きや抽選で、1人のメンバーが10万円を受け取ります。
全てのメンバーがお金を受け取るまで、
メンバー数と同じ回数の会合が、続きます。
ここまでは、ごく普通の、会員制懇親会と同じ仕組みです。
しかし、急にお金が必要になったなど、
どうしても、その回にお金を受け取りたい人は、
抽選の代わりに、利息をつけて、その権利を買うことができます。
希望者が複数の場合は、利息額を入札し、
一番高い利息をつけた人が、10万円を受け取ります。
利息が、かりに1000円だった場合、
次回の集金に反映され、以後、10回目まで毎回、
その人は、1000円の利息を払い続けることになります。
10回の会合が終わったあと、
利息の合計を、くじ引きで1人が受け取ります。
その最後の抽選を楽しみに、利息がエスカレートするケースも多く、
ときに、元金をはるかに超えるような利息になる場合もあるそうです。
ビジネスになると思った人は、お目が高いです。
実際に、相互銀行は、そのような座組みからスタートしました。
ただし、これを遊びの範囲を越えて、無許可で商売としてやると、
一発でお縄になるので、ご注意ください。
今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。