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大坂なおみ選手のCM問題に思うこと

よしをです。

 

テニスの大坂なおみ選手を起用したCMが、

自主規制により、放映中止になりました。

このCMは、日清食品カップヌードルで、

大坂選手が、アニメキャラクターとして登場するというものなのですが、

同社のCM表現をめぐって、大坂選手の肌の色が、

実際より白く描かれている、という議論が起こっていました。

 

このことから、わたしが想起するのは、

過去に、子供向け絵本・ちびくろサンボや、カルピスの商標、

ダッコちゃん人形など、黒人をモチーフにした意匠が、

自己規制という名の「表現狩り」や、「表現統制」にあったという例です。

 

ちびくろサンボでは、

黒人差別をなくす会」という日本国内の私設団体が、出版社を訴えました。

ちょうど、アメリカでは、公民権運動が盛んな時期でもあり、

「なくす会」は、岩波書店ほか、日本国内の日本語版絵本出版社を、

サンボが黒人差別であるという抗議をして、

ついに、昭和63年には、

サンボのすべての書籍が、一斉に、廃刊に追い込まれてしまいました。

 

トムとジェリーでは、1940年代の古い作品において、

太った黒人女性(腰から下だけ表現)が、短気で暴力的に描かれていて、

知らず知らずのうちに、日本の地上波放送から姿を消しました。

ここでも、表現の自己規制が働いたのでしょう。

 

昨今の世情をうけて、

テレビ局では、いじめ問題についても、神経質になっています。

バラエティ番組での、お笑い芸人の熱湯風呂や、熱々おでんや、

我慢大会、お仕置きの類いも、最近では、あまり見られなくなりました。

これからは、ハゲ、デブなどといった、人の体の特徴をあげつらう表現も、

少なくなってくるでしょう。

まあ、それらを売り物にした芸能人なんかも、いるのですが…。

 

実際に、そのようなバラエティ番組が減っていることについて、

個人的には、喝采を送りたいと思います。

しかし、わたしは、テレビ局がおこなっている自主規制(弱者保護)は、

残念ながら、テレビ局の、いじめ問題や、さまざまな社会問題に対する、

真剣な取り組みを表現した結果ではないと考えています。

 

すなわち、熱湯風呂が、番組のバラエティ表現にとって、

必要、不要とは関係なく、ただ単に、

「批判やクレームがくるから、カットしよう」、という、

消極的な規制をおこなった結果に過ぎないと思っているのです。

まあ、最初から、その程度の必然性しかないのでしょうが…。

 

先のCMの例を引けば、今後、企業の宣伝部の担当が、

「黒人や、黒人にルーツをもつ人を、CMに起用するのはやめよう」と、

自主規制を働かせる可能性も、あながち否定できません。

そうなれば、逆の意味での人権侵害であり、

笑って済ませることはできなくなります。

 

マスコミに限らず、表現者は、無意識のうちに、

弱者保護という耳障りのいい言葉に隠れて、

非常に危険で、根深い暗闇(=表現しないこと)を形成しています。

バラエティ番組がどうなろうが、大した影響はありませんが、

自主規制を前提にして、

正論を語られなくなってしまうような社会は、勘弁願いたいものです。

 

 

今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。