さあ来い 卒サラ!          ~悔いのないセカンドライフを目指して~

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JAの役割

よしをです。

 

日本の農業は、深刻な高齢化問題を抱えています。

日本の農家が人口に占める割合は1.6%といわれています。

その60%が65歳以上の高齢者で、

35歳未満の働き盛りは、わずかに5%という深刻さです。

平均年齢70歳に近い老人が、日本の農業を支えているのです。

 

その理由は、あきらかに後継者不足です。

農家は、世襲制度で成り立っていて、あらたに参入することは困難です。

脱サラして農業をはじめるという人も、稀にいますが、

農機具ひとつ導入するにも、大きな資金が必要です。

初期投資が大きいことが、参入障壁になっています。

 

借金してまで始めるだけの経済的な魅力が乏しい、これが現実です。

わずかな光明といえば、息子や孫が田舎にUターンするケースです。

しかし、それまで農業に従事したこともない若者が、壁にぶつかって、

すぐに辞めてしまうことも、多いのだそうです。

 

日本の農業のシステムをつくってきたのは、農協(JA)です。

未来の農業を魅力あるものに変えていくために、

JAの役割は大きいと考えますが、

今後、JAは、将来を見越した活動ができるのでしょうか。

 

JAの本来の目的は、農家を助けるための相互扶助です。

その組織は、全国を網羅するピラミッド構造をしていて、

全国、都道府県、市町村レベルに枝分かれしている、巨大な組織です。

さらに組織は、事業ごとにも分化しています。

各事業は、農家の指導をおこなう中央会(JA全中)、

農産物や農業資材の売買をする経済連(JA全農)、

保険は共済連(JA共済)、金融は信連(JAバンク)にわかれています。

 

JAは組合員制をとっています。

農業従事者である正組合員は、約450万人で、

JAの職員数といえば、全国で21万人いて、

職員ひとり当たり、担当する顧客は20人程度になりますから、

職員数が過剰な状態にあるといえます。

そこで、JAでは、

保険や金融部門での、あらたな顧客獲得を推進してきました。

その結果、非農業従事者である準組合員は、

550万人以上になり、現在では、農家である正会員よりも多くなっています。

 

日本の農産物流通は、伝統的に、JAによる寡占状態が続いています。

農産物の値段や供給量は、

比較的安定が保たれるという効果もありますが、

農家はJA以外の販路をもたないため、

大豊作となった農産物が廃棄される、といったマイナス面もみられます。

 

ニュースなどで、白菜やキャベツが、トラクターで踏まれ、

粉砕される無残な姿を見ることがあります。

廃棄するぐらいなら、業務用に販売するとか、家畜の飼料にするなど、

いくらでも工夫はできそうなものですが、

農家はJA以外の販路をもたないため、その方法がとれないのです。

むしろ、農産物の価格を維持するために、供給量を減らす、

そのために、せっかく育てた農産物を廃棄するという、愚かな行為が、

当たり前のようにおこなわれています。

 

JAは農産物の販路をにぎっているだけでなく、

農家が使う資材や機械の、(ほぼ)独占販売をおこなっています。

農家は、農作業機械(トラクターなど)の50%以上、

農薬の60%、肥料の70%を、JA経由で購入しています。

価格は、ホームセンターよりも高額になるケースが多いといいますが、

JA経由でしか買えない資材があったり、

農家と組合の力関係により、よそから物品を仕入れることに関して、

無言の圧力があるなど、双方の関係性については、

日本社会のウェットな特性が、見事に表現されているといえます。

 

つまり、現状のJAは、

組織運営の目的が、組織を守るために特化されているのです。

農協からJAへと、名称は今風になりましたが、

旧態依然とした体質には、あまり変化がないように思われます。

 

とはいえ、JAの力からすれば、日本の農業の悪癖をただすことも可能です。

後継者問題が最大の課題であることが、明らかなのですから、

JAは、組織防衛から抜け出し、正しい機能を発揮してほしいと思います。

そのために必要なのは、

予定調和を破壊することができる、カリスマ経営者の存在です。

 

 

今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。