レオパレス21問題に思うこと
よしをです。
わたしも、ささやかながら不動産投資をしていることから、
レオパレス21の不祥事については、考えさせられることがあります。
今回の一連の報道では、
建物の不正工事に関する問題がクローズアップされていますが、
それは大きな問題として、実は、そのほかにも、
レオパレスを含む、不動産仲介業者がすすめる賃貸経営の危うさについて、
思うところがあり、お伝えしたいと思います。
土地を相続した場合など、当座は使い道のない土地の活用について、
アパート経営を考えてみる、という選択肢はあるでしょう。
しかし、収支計算をしてみれば、すぐにわかることですが、
新築アパート・マンションで利益を出すことは、簡単なことではありません。
さらに、多額の銀行融資を前提に、土地を購入し、
建物を新築するというスタイルの投資については、
たまたま交通至便で、土地値の安い物件に出会って購入したとしても、
利益を出すことは、さらに困難です。
現実的な話を少しします。
たとえば、建築費については、木造の場合で、坪単価は50万円程度、
軽量鉄骨で80万円程度、鉄筋コンクリートで100万円程度が相場です。
不動産経営が成り立つために、
家賃設定と、回収期間を想定するわけですが、
感覚的に、当初の利回りは、5%前後になると考えていいでしょう。
この利回りと、金融機関からの融資利率を考えて、収支予測をするわけです。
利回り5%については、あくまでも、入居率100%の仮定であり、
実際には、入退去はつきものです。
アパート経営をしたことがあればわかりますが、
退去後には、メンテナンスをするための、一定の期間が必要ですし、
空室期間は、収入はゼロになります。
また、退去後のメンテナンスには、まあまあ費用がかかります。
さらに、いつまでも新築ではないので、入退去を繰り返し、
10年、15年と、年数がたつうちに、家賃は下がっていきます。
本来は、ここまで想定して、
アパート・マンションの新築に、踏み切るべきだと思います。
しかし、実際に、このような手順を踏んでいる人はほとんどいません。
そのシミュレーション不在の穴を埋めているのが、不動産投資会社ですが、
数千万円、あるいは億単位の不動産経営を、
他人に丸投げにしてしまうことが、大変危険なのです。
わたしが保有する不動産は、すべて中古で購入したアパートです。
それぞれ、築年数10年程度の物件です。
新築よりも家賃は低くなりますし、入退去とともに、家賃は下がりますが、
管理会社の見直しを何度かおこなうなど、手をかけ、
できるだけ、空室期間を短くするために、苦心しています。
アパート経営は、到底、不労所得というようなものではないと実感します。
管理会社からの、退去や入居の決定の連絡のたびに、一喜一憂するのも、
物件を保有する以上、プレッシャーも感じますが、宿命です。
しかし、自分でできる範囲ではありますが、
頭を使い、力を注ぐことに、やりがいも感じているのです。
不動産会社がすすめる空室対策に、
一括借り上げなどの、サブリース契約があります。
これは、入居があってもなくても、一定の家賃が入る仕組みで、
大家の手間も一切かかりませんし、夢のような提案に思えます。
しかし、サブリースには、危険が潜んでいます。
そもそも、サブリースの場合の家賃は、
不動産会社が多くコミッションをとるため、大家の手元には、
通常の家賃から、大きく割り引かれた金額が、振り込まれます。
その代償として、空室に対しても家賃が払われるというわけです。
ここまでなら、納得できる範囲かもしれませんが、
たとえば、契約後10年に、家賃の減額が提示されるというように、
サブリース契約は、一定期間後に見直しがされることになっています。
さらに、その後の継続契約においては、
家賃見直しを毎年おこなうといった、条件がつけられます。
家賃の減額幅は、サブリース会社の「言い値」です。
それでも、サブリース契約が解約となって、全室空室になれば、
大変なリスクですから、大家は、減額を断わることが難しくなります。
つまり、何年後かに、他人任せにしたツケとなって返ってくるのです。
わたしの物件で、
ある不動産会社の、サブリース付きのアパートがあったのですが、
サブリース契約の解消を条件にして、購入したことがあります。
このときは、全室空室にして受け渡しをしたのではなく、
精算金を支払って、入居者を引き継ぎました。
購入後、空室が出た場合でも、
自力(別の不動産会社と専任契約しました)でリーシングしたほうが、
有利だと判断したためです。
最近は、ネットなどを中心にして、怪しげな不動産コンサルが暗躍し、
土地の購入から新築まで請け負う提案をし、
まんまと乗せられる大家さんもいるということです。
確実に儲かる物件があれば、シロウトに話が回ってくることなどなく、
コンサルが自分で購入するはずです。
これは、どんな儲け話でも同じ、
美味しすぎる話には裏があるということを、肝に銘じましょう。
今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。