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三峡ダムの危機

 

よしをです。

 

三峡ダムは、中国が建設した、世界最大のダムです。

四川省重慶市から、湖北省宜昌市までの長江中流域のなかでも、

とくに水の流れが激しい、三峡という場所に、1993年から建設を開始し、

16年の歳月を費やして、2009年に竣工しました。

 

三峡ダムは、当初の計画では、総発電量2250万KWを誇り、

重慶、上海、広東など、下流の大都市にまで、広く電力が供給され、

中国全土では、年間消費電力の10%を賄うという壮大な計画でした。

 

しかし、この開発には犠牲が伴いました。

工事がすすむにつれ、多くの美しい景観が水没して、

揚子江イルカが絶滅するなど、生態系が破壊され、

いちじるしい環境破壊がおこなわれるとともに、汚職が横行しました。

また、100万人以上の住民が立ち退きを命じられ、

強制的に荒野へ移住させられ、貧困化して、10万人以上が流民化するなど、

さまざまな、社会問題をもたらしました。

 

ダムの建設中から、地盤の変化や、構造体の深刻なひずみや、

亀裂がみつかるなど、さまざまな技術的な問題が発生し、

当局は、補修に奔走することになりました。

 

ダムの完成後は、気候不順が頻発するようになりました。

ダムの貯水から、膨大な量の水蒸気が発生し、

豪雨による洪水が度々おこり、下流の住民が避難を余儀なくさせられ、

2016年の豪雨では、なんと130万人が避難しています。

さらに、三峡ダムの存在が、

2008年の四川大地震の原因になったという学説も、唱えられました。

つまり、ダムの水圧によって、

地面から地下にしみ込んだ、多量の水が断層に達したため、

断層がずれやすくなったというのです。

 

人工物であるダムが、自然現象にまで影響を与えるというのは、

にわかには信じがたい話ですが、

それほどまでに、このダムが巨大だということです。

 

三峡ダムには、さらに深刻な事態がおこっています。

上流から流れ込む土砂によって、

ダムは、ほとんど機能不全に陥っているようなのです。

土砂だけでなく、生活ゴミなども加わって、

場所によっては、ダム湖の堆積ゴミの上を歩ける場所もあるほどだそうです。

 

下流では、押し寄せる土砂や、ゴミに埋もれて水深が浅くなり、

船舶の航行に影響があるだけでなく、

ひとたび大雨になれば、堤防をこえて、田畑や都市部へと、

すぐに、洪水となって流れ込む状況になっています。

 

ダムの大敵は、流入する土砂問題です。

ダム湖には、周囲の山などから土砂が流れ込み、

だんだん土砂が堆積していきます。

しかし、最近つくられた多目的ダムの場合は、大雨が降るたびに、

多量の水とともに、土砂を排出する仕組みがあり、

日本国内のダムでは、ほとんど、土砂を堆積させない工夫がされています。

しかし、三峡ダムは、あまりに巨大で、

流入する土砂やゴミの量が多すぎるため、メンテナンスが対応できないのです。

 

当事者である、中国政府は、もはやお手上げ状態で、

責任問題になることを恐れて、積極的に対応するものがいない状態だといいます。

 

このままでは、三峡ダムは、土砂の圧力に負けて、決壊する危険があり、

専門家からは、あと10年ももたない、という悲観的な予想もされています。

もし崩壊すれば、上海をはじめ、下流地区に壊滅的な被害を与えることは、

間違いありません。

 

日本や、日本人であれば、

壊滅的な被害が予想される危機を放置するハズはないと思いますが、

中国国内で、深刻な問題として認識している人は、どれだけいるのでしょうか。

 

三峡ダムの問題は、中国政府や中国人の良心にかかっているのです。

 

 

今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。