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建物の耐用年数あれこれ

よしをです。

 

不動産投資をするにあたって、

建物の耐久年数がどれぐらいなのかは、大変気になるところです。

いわゆる法定耐用年数(減価償却年数)では、

軽量鉄骨造(骨格材3ミリ以下)で19年、木造で22年、鉄骨造で34年、

鉄筋コンクリート造で47年となっています。

耐用年数というと、建物の寿命のような印象をもってしまいますが、

実はそうではなく、これは、税法で定められた原価償却年数のことなのです。

したがって、実際には築100年以上の木造住居や、

50年以上、修繕を重ねて問題なく使用されているビルなど、いくらもあります。

 

現存する、日本最古の鉄筋コンクリート造の共同住宅といえば、

世界遺産にもなった、長崎の軍艦島です。

大正5年に建てられ、

炭鉱の社宅として、60年間にわたって、使用されました。

現在は、炭鉱の閉山から40年以上が経過し、荒れ果てて、

そのまま使用することは難しいと思いますが、躯体はしっかりしており、

ある建築関係の方の見解では、

修繕すれば、物理的には、あと100年はもつだろうということでした。

 

しかし、問題は、不動産としての価値だと思います。

つまり、軍艦島のアパート群については、

使えるといっても、「建築当時の使い方をすれば使える」ということで、

現代の生活のニーズに応えられる状態でなければ、

誰も住みたいとは思いません。

物理的な側面だけをクローズアップして、建物は何年もつかを論じても、

ほとんど無意味だと思うのです。

 

たとえば、90年代以前に建てられたマンションにみられる、

いわゆる3点ユニットバスなども、その典型的な例です。

かつては、風呂、トイレ、洗面台がセットになった造りは、

当時としては、合理的だったのでしょうが、

現在では、古いマンションの不人気の、最大の理由になっています。

 

その意味では、古い趣のある木造家屋を、外見だけを残して、

内部の設備を、まるっとリノベーションして、再利用する方法は、

現代のニーズにも合致した、ナイスアイデアだと思います。

 

欧州の古い建物は、鉄筋コンクリートではなく、石積みの建物が多く、

経年による躯体のダメージがほとんどないため、

200年を超えるアパートも少なくありません。

そのように、何世代もが受け継ぎ、歴史を刻んだ建物のほうが、

新築マンションよりも、不動産としての価値が高いといいます。

 

たとえば、パリの旧市街には一戸建てがなく、すべて集合住宅です。

旧市街は慢性的な住宅不足で、物件が少ないため、

あらたに住居を求める人は、郊外の物件を探すことになります。

郊外に行けば、あたらしいアパートもたくさんあるのですが、

移民などが多いため、治安が悪く、不人気です。

パリでは、旧市街のアパートに住むことがステイタスになっているのです。

ここは、何世代もが暮らす、保守的なパリジャン(白人)の住む場所であり、

いくら裕福な人でも、外国人の入居が拒否されるケースも多いといいます。

パリの古いアパートというのは、

建物の価値に加え、治安やステイタスの面からも、

価値が認められているというわけです。

 

歴史の浅いアメリカでも、新築よりも、中古住宅への需要が高く、

古い邸宅にはプレミアムがつくなど、人気があるそうです。

 

日本では、法定耐用年数が重要視されています。

すなわち、法定耐用年数に応じて、

融資を受けられるかどうかが決まるため、

古い建物には、ローンの審査が下りません。

たとえば、文化財的な価値のある巨大な日本家屋を、

住居として購入できるのは、現金で買えるひとだけです。

家屋を旅館やレストランに改造して使用する場合なら、

事業融資を受けられるため、転用可能な場合もあるでしょうが…。

したがって、古い建物は、どんどん壊されて、

更地として売り出される運命となります。

(土地だけなら、融資がつくため)

 

法的な制限を受け、

その結果、新築を重要視し、促進する、日本の不動産事情は、

住宅産業の振興という国策によるものでしょうが、

世界基準においては、特殊なのかもしれません。

 

 

今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。