さあ来い 卒サラ!          ~悔いのないセカンドライフを目指して~

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あれも人災、これも人災

よしをです。

 

最近はバラエティ番組などでも活躍している、五箇公一さんは、

一見すると、サングラスの怪しい人ですが、

京都大学・大学院卒の、立派な昆虫学者です。

 

現在、世界中の多くの両生類が、絶滅の危機に瀕しています。

その原因は、カエルツボカビ症を引き起こす、

カエルツボカビ(以下ツボカビ)です。

世界各地の研究チームが、この細菌のルーツを探ったところ、

1950年代の朝鮮半島にあるという研究成果が発表されました。

 

人為的なのか、偶然なのかは特定できないが、

この時代にあった朝鮮戦争をきっかけに、

ツボカビが、世界中に広がっていった可能性が、指摘されているのです。

 

両生類は、皮膚から酸素や水分を吸収するのですが、

ツボカビは、両生類の皮膚に取り付き、

皮膚に含まれるたんぱく質を餌に成長して、

皮膚呼吸や、体内の浸透圧の調整を阻害します。

 

感染がすすんだ個体は、

やがて皮膚が剥がれ落ちて、数週間で死んでしまいます。

世界各地でカエルの大量死が始まったのは、1970年代だといいますが、

地球規模で感染が拡大したのは、1990年代からです。

 

世界規模で深刻度を増しているツボカビ被害ですが、

冒頭で紹介した、五箇先生のコラムに、面白い記事を見つけました。

日本国内におけるツボカビ被害は、

2000年代はじめに、ペットとして輸入された、

南米産のベルツノガエルへの感染が確認され、

日本国内でも、両生類が絶滅するのではないかと恐れられましたが、

さにあらず、五箇全盛の研究チームの調査によると、

この病原菌の起源は、実は日本国内にあったというのです。

 

日本国内のツボカビの被害については、

国内産の両生類の、ごく一部にしか寄生がみられず、

感染したとしても、体全体に被害が広がるケースはほとんどなく、

足先など、体の一部にしか寄生されないというのです。

 

五箇先生の研究グループは、

日本の固有の両生類は、ツボカビとの共進化を経ていることにより、

菌に対する免疫機能が発達しているため、

感染が、深刻化しないのだと推定しています。

 

ツボカビのルーツが、朝鮮半島なのか、日本なのか、

それとも、いくつかルーツがあるのか、調査はこれからすすむと思いますが、

何にせよ、人間の手によって、

生息地が広がってしまったことだけは、疑いないでしょう。

 

ツボカビは、免疫をもった両生類と、細々と共生関係にあり、

これまでは、おとなしく暮らしていました。

それが、人間の手が入って、ツボカビの生息地が拡大し、

免疫機能をもっていない個体に寄生した途端に、

相手に破滅的な被害を与えてしまうということなのです。

 

この現象は、

現在、西アフリカで猛威を振るっている、エボラ出血熱と同じです。

ジャングルで、ひっそりと暮らしてきたエボラ菌は、

人間の森林開発と共に、人間社会に入り込むことになって、

パンデミックを引き起こしたのです。

 

日本全国で被害が確認されている火蟻についても、同様の事情があります。

かれらは、世界中で暴れまわっているため、強者のイメージがありますが、

本国のブラジルの森林地帯では、

競合関係にある、多くの蟻種や天敵から隠れるようにして、

資源の豊富なジャングルを追われて、

河川敷で、ひっそりと棲息しているのだといいます。

 

すべては、人災です。

 

 

今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。