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夕暮れ症候群と幼児体験

よしをです。

 

認知症患者の場合、かれらの入所施設では、

日中は穏やかに過ごしていた老人が、急に落ち着きをなくし、

夕食時間が近くなると、「そろそろ家へ帰る」と言い張る老人と、

それを押しとどめ、なだめる、施設職員との戦いがおこります。

夕刻になると、徘徊や独り言が多くなり、

興奮して叫び声をあげたりする様子も、しばしば見られるといいます。

 

夕方から夜間にかけて、認知症患者が不安定な状態になる現象を、

「夕暮れ症候群」というそうです。

そのメカニズムは、よくわかっていないそうですが、

夕方以降、脳の覚醒度が低下することが、その一因だとされています。

 

日中は、睡眠不足でも、仕事が終わるころにはすっかり元気になり、

夜の町へくり出すという経験は、

サラリーマンなら、誰しもある経験だと思いますが、

健康な人の場合、夕方以降は、

むしろ覚醒度が高まり、眠気が一時的に消滅するという特徴があります。

しかし、認知症を患うと、この覚醒サイクルが不安定になり、

健康な人のように、夕方になって、元気を取り戻すことができなくなり、

精神的に、不安な状態になるということなのでしょう。

 

学術的なことはわかりませんが、

わたしは、夕暮れ症候群の、もうひとつの要因として、

幼児体験の影響があるのではないかと考えています。

人間には、本能的に、闇への恐怖があります。

認知症患者は、一種の「子ども返り」によって、

幼少期の、暗闇に対する恐怖心が蘇ってくるのかもしれません。

 

わたしは小学校低学年の頃から、ふとんから足を出して寝るのが苦手です。

それには、あるきっかけがありました。

ある夏の日の真夜中、小学生のわたしは、

タオルケットのような、薄い布団をかけて眠っていたのですが、

足になにか、生暖かいものが触れる感覚があります。

おぼろげに、人間の体の一部、誰かの手だったと思ったのですが、

それがいきなり、わたしの足首を掴んだのです。

思わず飛び上がりそうになりましたが、体が硬直して動かず、

しばらくのうち、その手は、わたしの足首から離れました。

 

それから、知らず知らずのうちに寝てしまったのでしょう。

しかし、朝になっても、昨晩の手のことは記憶に残っていました。

その後も、就寝時に何度か思い出しては、

なかなか寝付けなかった記憶がありますが、

このことは、家族のだれにも話をすることなく、現在に至ります。

 

わたしのような、オカルトじみた経験ではないにしろ、

暗い部屋に飾ってある人形が怖かったとか、

階段が怖くて登れなかったなどの、幼少期のエピソードは、

誰しも、もっているのではないでしょうか。

 

あの暗闇の手は、家族の誰かのものだったのか、

それとも、わたしの夢の幻想だったのか、どちらかわかりませんが、

その後、暗闇の恐怖が、わたしの生活に、影響を与えたことがふたつあります。

 

ひとつは、布団から足を出して寝ることができなくなったことと、

もうひとつは、長じて会社員になってからも、

日の短い季節は、帰宅時間が早くなるということです。

 

ちょっとした幼児体験が、いつのまにか、その後の人生の在り方を、

ちょっとだけ変化させることがあります。

わたしも、老化がすすめば、「子ども返り」によって、

もっと、夜が怖くなるのかもしれません。

 

 

今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。