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マンション管理者と管理人

よしをです。

 

あるマンションのトラブルです。

臨時総会で解任した、管理者と称する人物(X)に対して、

20年分にわたる使途不明の管理費など、

約7000万円の支払いを求める裁判がおこなわれ、

現在も係争中だということです。

 

1984年に竣工したこのマンションは、

当初は分譲会社化管理をしていましたが、同社が倒産したため、

区分所有者が自主管理をすることになり、Xが「管理者」となりました。

 

マンションでは、

区分所有者が管理組合をつくり、管理者を置くことになっています。

管理者は、業者が有償で請け負う場合もありますが、無償のケースもあり、

この場合の管理者とは、

すなわち、管理組合の代表者(理事長)のことをいいます。

 

マンション管理の知識がないと、判りづらいのですが、

分譲マンションには、管理者のほかに、「管理人(有償の業者)」がいます。

 

Xは、前管理人が退職したあと、

区分所有者から委任状をとりつけて、「管理者」になり、

月額12万円を、管理者報酬として区分所有者から受け取っていました。

前の管理者がいなくなった経緯が、はっきりしないのですが、

発足時の、マンション管理組合の不手際により、

最初から管理者がいない状態だったのかもしれません。

さらに、Xは、管理人として、管理費(月額32万円)も受領していました。

 

ところが、Xは管理人としての仕事をせず、

自分の裁量で、勝手に、区分所有者を管理者補助に指名して、

無償で、日常の清掃などをおこなわせていました。

管理費は、共有の電気代のほかは、すべて着服しており、

建物の修繕はおろか、消防点検やエレベーターの点検、水質検査など、

必要な点検業務は、20年以上、一切していませんでした。

管理組合の総会も、

分譲会社倒産後は、一度しかおこなわれていませんでした。

 

そして、最近になって、

マンションの老朽化への対策がまったくおこなわれていない現状に、

さすがに不審に思った区分所有者のひとりが、専門家に相談し、

問題が発覚したのでした。

 

この問題は、Xの不正行為もさることながら、

区分所有者の無関心にも、原因があります。

要するに、管理会社の倒産のあとの、最初の一歩が間違っていたのです。

最初から、マンション管理の専門家に間に入ってもらえば、

こんな事件は、起こらずにすんだのです。

 

さらに、経年によって、区分所有者が入れ替わるために、

入居者は、所有者と賃貸人が入り乱れて、責任者の所在が曖昧になり、

このマンションは、共有財産としての一体性を維持できなくなり、

問題が長期化、拡大していったのです。

 

こうなると、このマンションを再生させるのは至難の技です。

とくに、大規模修繕が一切おこなわれていないことが問題で、

裁判の結果、Xから、全額取り戻したとしても、とても足りないでしょう。

 

中古マンションの区分所有を検討する際には、

建物の状態よりも、管理の状況を確認することのほうが重要です。

購入前には、管理組合の活動状況や、

資産状況を確認することができますから、

物件の見た目に騙されないようにしなければなりません。

 

 

今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。