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藩札と西郷札

よしをです。

 

藩札とは、江戸時代に各藩が独自に発行した、領内のみで使える紙幣のことです。

各藩が発行した、正規の藩札(大名札)のほかに、

旗本が発行した旗本札、寺社が発行した寺社札、宮家が発行した宮家札、

町村札なども、広義の藩札として扱われます。

 

最初の藩札は、備後福山藩が1660年に発行した銀札だそうですが、

それ以前には、伊勢や大和に、私札という、紙幣があったことが知られています。

藩札は、和紙を何重にも張り合わせ、厚紙状にしたもので、

一般的に木版刷りが多いのですが、手書き(墨書)の札もあり、

のちに、偽札防止のため、銅板刷りの札もみられるようになりました。

 

藩札は、全国通貨の流通を阻害するということで、

幕府は何度か禁令を出しています。

禁令破りが横行するなど、モラルが乱れ、対策として、

条件付きの発行が解禁されるなど、

幕府の対応は、二転三転し、幕末に至ります。

その結果、正規、不正規品を問わず、

江戸時代を通じて、かなりの種類の藩札が発行されました。

 

現代では、藩札専門のコレクターもいます。

藩札は、色や形状がさまざまです。

意匠が異なる札を集めることは楽しく、

値段的にも手頃ですから、比較的無理なく蒐集できると思います。

 

西南戦争に際して、

西郷軍は、軍資金を調達するため、いわゆる西郷札を発行しました。

西郷札は、いわゆる軍票なのですが、

札といっても、紙製ではなく、布製の布幣です。

通用期間3年の不換紙幣(買い物はできるが、換金はできない)で、

最高額面で10円、以下、10銭までの合計6種類が発行されました。

戦時通貨のため、信用力に乏しく、

西郷軍は、領内で無理やり運用していましたが、

西郷の敗北とともに、西郷札は貨幣価値を失って紙くずになり、

そのため、没落した商家も多くあったといわれています。

 

西郷札は、ほとんどが明治政府に没収されて、焼却処分されたため、

現存するものが少なく、

貨幣コレクターの間では、幻の札といわれています。

コンディションや額面によっても異なりますが、

1枚10~20万円程度で取引されています。

わたしも、いつかは入手したいと思っていますが、

あまり数が出回っていないうえに、なかなかの高額です。

 

わたしの手元に、1枚の藩札があります。

       伊予       大洲藩 二分 享保十六年」

少し、虫食いがありますが、木版印刷の文字は、はっきり残っています。

骨董祭で求めたもので、値段は、たしか3000円だったと記憶しています。

 

日本銀行金融研究所のデータによれば、

享保年間の一両は、現在の貨幣価値で、約16000円になるそうです。

二分は、一両の半分ですから、

わたしの藩札の額面は、8000円ということになります。

 

わたしは、伊予大洲藩藩札を、ビニールシートに入れて、

本の栞として使っています。

ときどき、読書の手を止めて、眺めたりしていますが、

300年前のお札を、こんな風に使うのは、

われながら、酔狂だと思います。

 

 

今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。