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やっかいなヒューマンエラー

よしをです。

 

岐阜市が、市民向けに実施しているがん検診で、

「要精密検査」の通知をすべきだった50代の女性に対して、

「異常認めず」の誤った通知をし、その結果、

胃がんの発見が遅れて、亡くなってしまうという、事案が発生しました。

この女性のほかにも、

「要精密検査」の通知がされなかった受診者が、4人いたそうです。

 

検診の結果は、委託先の受診機関から市に結果が届き、

市職員がデータを入力する仕組みになっていますが、

この誤通知は、いずれも、職員による入力ミスが原因だと判明しました。

マニュアルでは、職員が2人一組で読み合わせをして、

確認することになっていましたが、

実際には職員が1人で確認作業をおこなっていたことがわかりました。

 

ヒューマンエラーの撲滅は難しく、忘れた頃に、トラブルがやってきます。

ときどきニュースになる、赤ちゃんの取り違えなども、

医療現場におけるヒューマンエラーの一種です。

冒頭の事案は、本来あるべきダブルチェックが、

おこなわれていなかったという杜撰な事例なのですが、

ダブルチェックをしていても、エラーが発生する可能性は、

人間が介在している限り、常にあります。

 

ダブルチェックから漏れてしまう原因は、

大抵の場合、誰がどの作業を担当しているのか、

整理できていないことから起こります。

複数の担当者の目をすり抜けてしまうのは、それぞれの境界線です。

たとえは悪いですが、

野球でいうところの、野手の間に落ちるポテンヒットのようなもので、

守備の穴を小さくするためには、守備に特化した対策が必要です。

 

文章の校閲を例に、考えてみます。

文章の校閲の仕事というのは、かなり特殊な仕事です。

初心者の場合、気合を入れてチェックしたつもりでも、

かなりの数の誤字脱字を、見逃してしまいます。

 

どういうことかといえば、

普段の読書と校正作業では、注意の矛先が根本的に異なるからです。

読書の場合は、その内容を理解しようとしながら読み進めるのであって、

誤字脱字を探すために読んでいるわけではありません。

脳が読書モードにあるうちは、誤字脱字を発見しても、

脳内で勝手に正しい文字に変換してしまうのです。

したがって、文字校正をする場合は、内容を理解することを忘れて、

文脈を忘れ、文字の正誤だけを目で追う必要があるのです。

作業中に、心の中に、引っかかっている心配事や、ささいな考え事があると、

それだけで、文字校正の感覚は鈍ってしまいます。

これを未完了事項といいます。

 

これらの教育を最初におこなうことで、文字校正の正確性は格段に上がります。

医療現場や、今回の行政のチェックも同様です。

最初に、チェックの目的と、注意点を確認したうえで、

未完了事項の悪影響を担当者に伝え、作業に当たらせるだけで、

今回の致命的なミスを防げたと思います。

どんな仕事でも、漫然と作業させてはいけないということです。

個人的偏見かもしれませんが、

これが、役所仕事の最大の弱点かもしれません。

 

 

今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。