吉本興業は法律違反の可能性がある
よしをです。
このところ、世の中を賑わせている、吉本興業について、
すでに、いろんな人がコメントしているところですが、
契約の課題について、フォーカスを当ててみようと思います。
一連の報道で、初めて知りましたが、吉本興業では、
タレントは、個人事業主という認識をしているということです。
吉本興業は、タレントと、口頭による契約を結んでいます。
これは、吉本興業だけの、特有な契約スタイルなのですが、
吉本の主張によれば、専属マネジメント契約であり、民法上も、
書面による契約書を交わすことは必須ではないとしています。
法律上、「自ら用いる役務の委託」となり、
下請法が要求する、契約書の交付義務は、発生しません。
吉本主催のイベントや、花月劇場への出演が、それにあたります。
しかし、吉本興業が、テレビ局など、外部から仕事を請け負い、
その請負業務において、タレントを出演させる場合には、
相手が個人事業主であっても、契約書面の交付が必要です。
吉本以外の芸能事務所では、タレント(個人事業主)と、
業務内容、報酬額(事務所の手数料を明記したもの)、
支払期日を記載した契約書を交わします。
この書面を取り交わしておかないと、
後になって、親事業者から、「こんな契約はしていない」といわれたり、
報酬の支払い期日や金額が、親事業者の言い値になってしまうといった、
トラブルや不利益が、発生する可能性があります。
そうならないために、事前の書面のやり取りをおこなうことが、
法律で、定められているのです。
先日の記者会見では、
芸人と吉本興業とのギャラの配分を、(5:5)としていましたが、
芸人からは、「(1:9)か(2:8)程度ではないのか」といった、
不満や疑問の声が、多く聞かれました。
しかし、かれらの発言は、あくまでも推測に過ぎません。
ほかの事務所であれば、報酬の明細に、事務所の手数料が記載されますが、
吉本興業の明細には、金額の記載があるだけなのです。
もっとも、明細金額数百円、ひどいものだと、1円というのが、
請負先から受け取る金額の50%だと信じる人は、いくらなんでもいません。
その後も、続々と、SNSやメディアで、
タレントが、自らのギャラの明細をさらすなど、発言をしていることから、
かれらのギャラに対する不満が、爆発寸前であったことが想像できます。
所属タレントが個人事業主であるという、吉本の主張にも矛盾があります。
事務所とタレントの間に、経済的な主従関係がある実態を、
「使用従属関係」といい、特別な契約が必要です。
「闇営業」という言葉が示すように、
吉本興業と吉本所属の双方に、事務所を介在しない仕事を受けることが、
ご法度、あるいは、暗黙の了解であるという認識があるのであれば、
所属芸人は、吉本と、使用従属関係にあると考えるのが自然です。
つまり、吉本興業としては、
タレントが独立事業主であるというのは、タテマエであって、
本当は、会社との使用従属関係にあるというのが、実態なのです。
この場合に、書面による契約をしていないのであれば、
オフホワイトどころか、グレーを通り越していると考えていいでしょう。
なんにしても、吉本興業の契約問題は、矛盾だらけです。
この際、契約の在り様を根本的に見直さないと、
吉本興業は、大変なことになると思います。
いずれ、公正取引委員会が動くように思います。
かりに、芸人が個人事業主だとすれば、
事務所を通さない営業が、可能だということになります。
その場合に、反社会勢力のチェックをおこなうことは、
実質的に不可能であることを、追記しておきたいと思います。
今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。