圧倒的に贋作が多い日本画
よしをです。
日本画の贋作というのは、それこそ無数にあります。
珍しいところでは、河童画の小川芋銭など、
あらゆる有名作家の贋作がつくられています。
近現代の作家では、横山大観が贋作率ナンバーワンです。
有名作家の作品の真贋比率は、
1:1000か、それ以上だと思います。
掘り出し物などというのは、この世に存在しません。
江戸中期に活躍した谷文晁は、
かれの弟子が、自分たちの作品に、
文晁の落款(印鑑)を勝手に押して売り、
学費や生活の足しにしていたそうです。
文晁は、それを黙認していたそうで、
そのおかげで、
後世の骨董商や蒐集家は、大変苦労することになりました。
狩野派は、弟子のスキルをあげるために、
ひたすら師匠の手本を模写させました。
そのため、膨大な数の模写が後世に伝わりました。
現代になり、昭和30~40年代に、
地方の旧家などを、軒並み訪問して、
贋作を売りまわった業者がいたようです。
地方の倉などには、膨大な贋作が死蔵されています。
日本画の贋作は、弟子の習作に師匠の名を入れるケースや、
最初から、贋作の意図をもって作画されたもの、
もともとは悪意なく模写した習作に、
後日、本家の名入れをしたものや、コピーなどの手法があります。
とくに、最近のコピーは、レベルが上がっていて、
肉筆との区別がつかないレベルのものも多くなりました。
日本画の真贋の見極めは難しいのです。
わたしは朝鮮の陶磁蒐集をしていたこともあり、
朝鮮の民画という下流絵師の作品のほかに、
犬図を一点所有しています。
紙の古さから、
18世紀の作品であろうというのが骨董商の見立てです。
絵は、韓国で有名な作品の一部を模写したもので、
非常にレベルの高いものですが、
オリジナルの意匠ではないので、骨董的な価値は劣ります。
贋作のつもりで描いたものか、
習作として書かれたものかわかりませんが、
模写であることを知ったうえで、
古いものとして求めたものですから、
オリジナル作品ではなくても、
こういう場合は、よいと思うのです。
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