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村上春樹はどうしてノーベル文学賞を取れないのか

よしをです。

 

毎年、有力候補といわれながら、

今回も、村上春樹ノーベル文学賞を受賞できませんでした。

 

英語圏以外の作家が、ノーベル文学賞を受賞するためには、

大前提として、その作品の多くが、

英語や欧米語に翻訳されている必要があります。

その点、村上の作品は、

英語をはじめ、約50か国語に翻訳され、

世界中に、何千万人もの読者をもっていますから、

資格は充分すぎるほどあります。

 

また、ノーベル賞以外の受賞歴も、

選考の参考にされている可能性があります。

村上は、「フランツ・カフカ賞」を受賞しているのですが、

過去の、同賞の受賞者のなかに、

ノーベル賞を受賞した作家が複数いたことから、

ハルキストとよばれる、かれの信者たちは、

一気に盛り上がりました。

 

実際のところ、

ノーベル文学賞は、審査基準が公表されません。

その年の発表の段階では、

候補者も、明らかにされませんが、

50年後には、候補者が発表されることになっていて、

2013年には、三島由紀夫が、

1963年の受賞候補だったことが公表されましたし、

過去には、谷崎潤一郎も、ノミネートされていました。

 

あくまでも想像の範囲ですが、

半世紀前の候補者を公開していることなどから、

選考委員会は、

50年後にも読み継がれているであろう作家を、

候補に挙げていると考えられるのです。

 

村上春樹の作家論などを読むと、

かれの作品には、文明社会における、

人間の喪失感や、疎外感、孤独が表現されているという論評を、

多く見かけます。

したがって、村上がノーベル賞を受賞するためには、

これらのテーマが、時代を越えてもなお、

色あせず、読み継がれているかどうかが、

ポイントとなるように思います。

 

1994年にノーベル文学賞を受賞した、大江健三郎は、

村上春樹の文学の傾向に関して、このように語っています。

 

村上春樹の文学の特質は、社会に対して、あるいは個人生活のもっとも身近な環境に対してからも、いっさい能動的な姿勢をとらぬという覚悟からなりたっています。そのうえで、風俗的な環境からの影響は抵抗せず受身で受け入れ、それもバックグラウンドミュージックを聴きとるようにしてそうしながら、自分の内的な夢想の世界を破綻なく紡ぎだす」。

 

ひとことでいうと、「軽い」という評価です。

わたしは、大江の村上春樹評が、

かれが受賞に及ばない、大きなヒントになると思うのです。

 

もっとも、村上春樹自身が、ノーベル文学賞を望んでいるかどうか、

わたしにはわかりません。

 

 

今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。