さあ来い 卒サラ!          ~悔いのないセカンドライフを目指して~

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禁断の味 

よしをです。

 

陸上のスプリンターを称して、

カモシカのようだ」と表現することがあります。

カモシカといえば、ニホンカモシカですが、

かれらには、特別、俊足のイメージはありません。

 

アフリカには、

トムソンガゼルやインパラといった羚羊類がいます。

現在は、羚羊類とカモシカ類は別種として分類されていますが、

以前は、これらのウシ科の動物のうち、

ウシやヤギなどを除いたものを総称して、

アンテロープ類としていました。

日本では、アンテロープカモシカと訳したため、

トムソンガゼルもインパラも、

ニホンカモシカと同じ、カモシカとされてしまったわけです。

ちなみに、南アフリカラグビーナショナルチームの愛称は、

スプリングボクスといいます。

スプリングボックも、

以前はアンテロープ類に分類されていました。

 

ですから、俊足や美脚をあらわす言葉としては、

正確には、「インパラのような足」とすべきでしょう。

 

氷河期から、ニホンカモシカは日本に生息していました。

縄文や弥生時代の遺跡から、イノシシや鹿と一緒に、

ニホンカモシカの骨が出土していることから、

この時代から、人間に食用されていたことがわかっています。

 

ニホンカモシカは、食料だけでなく、

貴重な毛皮としても、活用されてきました。

 

わたしは以前、

骨董店で、ニホンカモシカの毛皮をみたことがあります。

「尻皮(しりかわ)」とよばれる、

一辺30センチほどの四角い毛皮で、

これを、座布団のように腰から下げたのだそうです。

骨董主によれば、これは防寒としての実用品ではなく、

猟師や山男にとっての、

一種の、ステータスシンボルだったということです。

サルの毛皮を下げているのは野暮だとか、

山男の世界も、いろいろとランクがあるようです。

 

ニホンカモシカには、地方独特の名前があります。

ニクバカとか、オドリジシ、バカジシなど、

ちょっと馬鹿にしたような別名がついています。

なぜ、このような名前がついたのかといえば、

カモシカは、好奇心旺盛で、人間を見つけると、

近づいてくる習性があるからだそうです。

この習性を応用した猟というものがあって、

2人組の猟師のうち、1人が手ぬぐいをもって踊りをやって、

カモシカの注意を引き、

もう1人が、後ろに回って銃で仕留めるという方法です。

そのようなことで、バカやオドリの名がつけられています。

 

また、イワシカとか、カベトリ、タケヤマなど、

カモシカが住んでいる、岸壁や高い山にちなんで、

名前をつけられている例もあります。

 

昭和の半ばまでは、ニホンカモシカの密猟は、

かなり盛んにおこなわれていましたが、

昨今は、さすがに、摘発そのものも少なくなっています。

最近耳にした、東北地方で摘発されたケースでは、

カモシカを仕留めたハンターが、処理に困ってその場で解体し、

持ち帰って、鍋にして食したという事例があります。

意図的に撃ったのか、偶然かはわかりませんが、

どのみち見つかれば罰金が科されますから、

証拠隠滅のために、持ち帰ったのでしょう。

 

カモシカは牛に近い仲間ですから、

肉質も牛に近いといわれています。

かれらは持ち帰ったカモシカ肉を鍋にして食べたそうですが、

美味しくておかわりをした人もいれば、

獣臭が気になって、あまり食べられなかった人もいたそうです。

おそらく、処理を上手にやれば、

もっと美味しかっただろうと思います。

 

天然記念物の二ホンカモシカは、

スギの新芽を食べる害獣でもあります。

仄聞するところによれば、

密猟が摘発されるのは、村外から来たハンターで、

いまでも、地元の猟師が、

カモシカを狩っている地域があるといいます。

また、ひと昔前は、警察が摘発して押収したカモシカ肉を、

本来焼却処分するところ、

持ち帰って食べていたという話も聞いたことがあります。

 

法律違反ではありますが、

最近は、ニホンカモシカも増えているようだし、

地元の猟師が、ひっそりと禁断のグルメを味わうぐらいは、

大目に見てもいいと思うのですが…。

 

 

今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。