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幽霊不動産のメカニズム

よしをです。

田舎で一人暮らしの親が亡くなり、
自宅を処分しようにも、買い手がつかないケースがあります。
相続しても、資産価値はほとんどなく、
固定資産税がかかるだけだとすれば、
相続人は、相続放棄を選択することができます。
相続放棄をすれば、プラスの資産もマイナスの資産も、
一切引き継がなくてもよいのです。

しかし、残った空き家の問題は解決しません。
民法によれば、相続放棄をした人は、
あらたに相続人となる人が、相続財産の管理を開始するまで、
管理を継続しなければなりません。
要するに、当該不動産の引き取り手が決まるまで、
結局は、相続人の誰かが管理しなければならないのですが、
どのみち、売れる見込みはなく…。

これらの不動産が、「負動産」といわれる所以です。
1円とか100円で売られている不動産は、こういった負動産です。
思わず、飛びつく人もいるかもしれませんが、
所有しているだけで、税金がかかりますから、
田舎への移住を考えているといった事情でもない限り、
ソーラー発電所にでも転用できないような土地であれば、
購入はお薦めしません。

この例のように、当該の不動産が、
相続対象であると認識されている場合は、まだましなほうで、
田舎に行くと、もともと登記がされていない家に、
何世代にもわたって、子孫が住み続けているケースがあります。
こういう家は、代替わりしても、相続税は一切支払われておらず、
固定資産税の請求先は、
50年も前に亡くなった、明治生まれのおじいさんだったりします。

固定資産税の請求は毎年届きますから、
おそらく、その家に住んでいる子孫が支払っています。
誰が持ち主であっても、
正常に納税されていれば、税務署は文句をいいません。

その子孫が家を離れると、
誰もいなくなった家に、税金の請求が届きます。
その結果、税金が支払われなくなってしまうと、
税務署は、もうお手上げです。
住民票(戸籍簿)と税務署の名簿は、連動していないので、
誰に税金を請求していいのか、税務署はわからなくなるのです。

明治生まれの名義人から数えると、
相続人は、100人以上にもなるでしょう。
税務署が、運よく、相続人の一人を確認できたとしても、
その人に、税金の支払いを強制することは難しいのです。
現在、その人は、不動産の名義人ではないし、
相続放棄されてしまえば、どうしようもなくなります。

登記簿は、不動産の持ち主を証明する書類です。
不動産の売買による名義変更や新築の場合は、登記は必須ですが、
もともと登記のない不動産に、登記する義務は課されていません。
したがって、
このような、持ち主不明の幽霊不動産が生まれるわけです。

国の法制審議会は、不動産の相続に際して、登記を義務付け、
登記をせず、不動産を放置した場合は、過料を科す方針です。
しかし、これによっても、
すでに登録のない不動産の所有者を、特定することはできません。
さきほどの田舎の家の例をとれば、
140歳の老人が住む家が存在することになっているわけですから、
登記の義務化とともに、
所有者の生存確認をしないと、問題は解決しません。


今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。