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虎のあれこれ

よしをです。
虎口とは、中世以降の城郭の出入り口のことをいい、
この場合の呼び方は、「こぐち」です。
「こぐち」には、狭い道、狭い口という意味もあります。

「ここう」と読む場合は、危険な場所などの意味となります。
虎口に似た言葉で、虎穴という言葉もあります。
「虎穴に入らずんば、虎児を得ず」という諺は、
危険を冒さなければ、大きな成功は得られないという意味で、
後漢時代の武将、班超が、匈奴との戦いで危機に陥った際に、
部下に発した言葉だといわれています。

西暦73年に、漢の明帝は、賽固を大将として、匈奴征伐に乗り出し、
部下として参戦した班超は、武功を立てました。
班超の有能さを認めた賽固は、
西域諸国への使者として班超を起用しましたが、
班超一行は敵国で苦境に陥り、このときに部下に語ったのが、
「虎穴に入らずんば」、の名言だったといいます。

西域を平定した功績で、班超は定遠侯に封じられました。
諸侯になったとはいえ、その名前が示すように、
辺境の地で、異民族との終わりのない闘いの日々が続く生活でした。
班超は故郷が恋しくなり、西域に滞在すること33年で、
ようやく帰任が叶いましたが、その1か月後に故郷で死去しました。

その後、班超の長子や孫が、西域に派遣されましたが、
班超の時代の版図は回復できませんでした。
その後、班超の子孫は、順帝のとき、
スキャンダルによって、一族もろとも誅殺されてしまいました。

班超の逸話から想起されるのは、
能力が高いことで、損をする場合があるということです。
班超が平凡な人間であれば、
故郷で平穏無事に生活できていたのに、能力が高いばかりに、
辺境に追いやられ、責任を取らされる結果になりました。

これは、サラリーマンの世界でも、たまに見られる現象です。
仕事ができるばかりに、中央から疎んじられ、
ずっと同じ部署に据え置かれるという、不運で有能な人は、
大企業の地方の支店に、たまに見られます。

ちなみに韓国では、虎口(ホグ)といえば、
「馬鹿にされる人」という意味になるそうです。
囲碁用語から、そのようになったといわれています。
石がとられることがわかっていて、
そこに石を置く愚か者ということなのだとか。
爪を隠して韜晦するのも、人間の知恵だとすれば、
虎口(ホグ)は、前述のサラリーマンにも通じる真理かもしれません。
「この会社を選んだ自分が悪い」、といえば、あまりに残酷ですが。

わたしの古くからの知人が、
1月1日付で、長い単身赴任から脱して、
家族の待つ地元へと帰還することになりました。
年末の個人的な送別会で、班超の逸話を紹介した次第。
長生きしろよ、と。


今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。