さあ来い 卒サラ!          ~悔いのないセカンドライフを目指して~

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どっちもどっち

よしをです。
TATERUは、
2006年に、株式会社インベスターズという商号で事業をスタートし、
アプリではじめるアパート経営をメイン事業に、
提案、建築、管理までを一括でおこなう、
アパート経営プラットフォームで、急成長している不動産企業です。

昨年、TATERUが、投資用アパートの融資にからんで、
オーナーの銀行預金残高を改竄して、
銀行に提出していたというスキャンダルが、明るみに出ました。

TATERUの営業マンは、40歳代のサラリーマンAさんに、
「自己資金ゼロでスタートできる」、と謳って投資をすすめ、
1億円の新築アパート(9室)の購入に対して、
35年のフルローンによる融資を斡旋し、契約が成立しました。
融資をしたのは西京銀行で、金利は2.5%、利回りは6.4%でした。

銀行の審査の前に、Aさんは、TATERUの営業マンから、
「メインバンクの履歴データがほしい」、という連絡を受けました。
残高が20万円しかなかったので、Aさんは提出を躊躇しましたが、
しばらくすると、銀行融資が下りた旨、営業マンから連絡が来ました。
不審に思ったAさんが、西京銀行に問い合わせをすると、
なんと、自分の銀行口座の残高が、
20万円から620万円に改竄されていたというのです。

残高改竄の報告は、Aさんのケースに限りません。
投資家Bさんの、C銀行の口座残高は4万円から300万円に、
D銀行の口座は、17万円から600万円に改竄されていました。
TATERUは、Bさんに、合計900万円の自己資金があるように見せかけ、
改竄された残高を元に、西京銀行が融資をおこなっていました。

TATERUの売上は、年々右肩上がりで、
少し古いデータですが、2017年には700億円近い売上があります。
融資をおこなった西京銀行も、
2018年3月決算において、7期連続の増収増益で、
貸付残高も、過去最高を記録しているそうです。
TATERUの融資の大部分が、西京銀行だったという情報もあり、
両社が合意のうえで、
不適切融資を繰り返していた可能性も指摘されています。

それにしても、西京銀行の融資の審査は、あまりにも緩すぎます。
フルローン1億円に対して、自己資金620万円は少なすぎるのです。
Aさんの給与収入や社会的信用にもよりますが、
貸付額の30~40%(3000~4000万円)の預金残高がないと、
普通は、融資が通らないように思います。

Aさんに紹介された物件を分析すると、
満室時の家賃収入が月58万円、銀行への返済は40万円で、
管理料を差し引くと、手残りは15万円を切ると思われます。
しかし、9室のうち、2室空けば、即赤字になる状態ですから、
常識で考えても、年間で黒字を出すことは難しいでしょう。

Aさんは、契約内容に瑕疵があるとして、契約を解除しました。
キャンセルできたのは幸いでしたが、
そもそも、貯金が20万円しかないような人は、
アパート投資など、やってはいけません。

もし、契約が成立していたら、どうなっていたかというと、
購入時の諸費用のほかに、
物件購入後、半年後に不動産取得税の請求がきます。
約100万円になりますが、まず、Aさんは、これが払えません。
さらに、翌春には、固定資産税の請求もきますが、
こちらは、初年度は、175万円程度になります。
すなわち、初年度で300万円弱の税金を支払う必要がありますが、
その財力がないAさんは、初年度で投資が破綻してしまいます。

TATERUでは、口座改竄の不祥事に対して、特別調査委員会を設置して、
再発防止に努めるとしていますが、
改竄は、一部の営業マンではなく、組織ぐるみだと考えざるを得ません。
さらに、銀行残高の改鋳は不祥事ではなく、犯罪ではないのかと、
疑問に思う次第です。

破綻を承知のうえで購入をすすめる、営業マンもすごいですが、
自己資金ゼロの空手で、1億円の物件を購入できると考える投資家も、
ある意味すごいと思います。

どっちもどっちです。


今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。