よしをです。
ベトナム戦争末期、アメリカ陸軍将校のウィラード大尉は、
元グリーンベレー隊長の、カーツ大佐の暗殺指令を命じられます。
カーツ大佐は、突然失踪し、
カンボジアに、自らの独立王国を築いているというのです。
ウィラードは河川哨戒艇に乗り込み、川を遡り、
道中で、さまざまな戦争の狂気を目の当たりにします。
コッポラ監督は否定していますが、
カーツ大佐には、モデルとされる実在の人物がいます。
CIA工作員の、通称トニー・ポー、
本名アンソニー・アレクサンダー・ポシュニーという人物です。
トニー・ポーは、CIA工作員としてラオスに派遣され、
北ベトナムと対立する、山岳民族のモン族の訓練をおこないました。
訓練を終えたモン族の民兵に、
敵兵の耳を持ち帰れば賞金をわたすと持ち掛け、
集めた耳を米軍司令部に送ったり、
敵地に生首を投下するなど、狂気じみた戦闘をおこなっています。
かれは、モン族から尊敬を集め、モン族の王女を妻にしました。
その後、トニー・ポーは、アメリカ軍の軍事方針に幻滅し、
ラオス軍を非難するなどの行為がみられたため、
CIAはラオス駐在の任を解き、タイへ異動させました。
トニー・ポーは、ベトナム戦争後、
モン族の妻と4人の子どもをつれて、タイからカリフォルニアに移住します。
アメリカ軍に協力したモン族は、ラオスの社会主義政権から敵視され、
10万人を超えるモン族が、アメリカに亡命しました。
そこにはトニー・ポーの支援もあったのです。
ちなみに、モン族の亡命者が移住した町を舞台にした映画が、
クリント・イーストウッド監督の「グラン・トリノ」です。
地獄の黙示録には、もうひとつ、別の原作があるといわれています。
ジョセフ・コンラッドの「闇の奥」という小説で、
舞台も異なり、戦争とも関係のない作品です。
象牙貿易で莫大な富を築いた人物が、
アフリカ奥地で、王になるという物語ですが、
こちらは、また機会があれば、ご紹介しましょうか。
今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。