さあ来い 卒サラ!          ~悔いのないセカンドライフを目指して~

起業とか資格とか。趣味や思い出話など いろいろランダムに

論点を混同しているが誰も指摘しない

よしをです。
国民が、病気やケガ、失業などにより、
自分の努力だけでは解決できず、自立した生活を維持できない場合、
国が必要な生活保障をおこなうのが、社会保障制度の役割です。
生活保護とともに、医療、介護、疫学、医療制度などを含みます。

武漢肺炎の経済的影響に関して、
政府は雇用調整助成金の導入を検討しはじめています。
この助成金は、労働者個人に支払われるのではなく、
企業や事業主に支払われるもので、
個人への給付については、別途考えるべきとの議論があります。

自民党公明党は、
リーマンショックを上回る規模の対策が必要だとして、
所得が減少した個人への現金給付を、政府に提言しました。
自民党は、財政支出で20兆円、事業投資で60兆円が必要だとし、
公明党は、家計に深刻な影響が出ている個人に向けて、
1人あたり一律10万円を給付するように求めています。

はっきりさせておかなければならないのは、
現金給付の目的が、
社会保障か、それとも経済対策なのか、どちらなのかということです。

たとえば、子ども手当については、
親の収入によって給付額に差がありますが、
わたしは、大変不公平な制度であると考えています。
本来、この制度は少子化対策が目的なのですから、
親の収入に関わらず、
子どもをもつ家庭に均等に配布するのが筋でしょう。
しかし、意図的かどうかはわかりませんが、
政府は、子ども手当社会保障費として、
低所得家庭には、現金を厚めに配布しています。

納得がいきません。
子育てをする家庭には、収入に関わらず共通の苦労があるのです。
子ども手当というのは、
将来の納税者を増やすためにおこなう経済対策ですから、
言い方は悪いですが、
むしろ、貧乏人よりも金持ちの子どもを増やした方が、
将来的に、国の財政を豊かにすることができるというものです。

武漢肺炎に関する給付金は、
社会保障か、それとも経済対策であるべきか、
どちらがふさわしいのでしょうか。

たとえば、大震災の被災者は、経済的な損失以外にも、
精神面も含め、多くのものを失いました。
したがって、対象者を被災者に限定して、
補償金を給付することについては、誰しも納得がいきます。
大切なポイントは、
震災被災者は、経済的損失だけでなく、
同時に、精神的なダメージを負っているという点です。

今回のウイルス汚染に関する、政府の給付の考え方は、
経済的な影響を受けた対象に限定して、
配布することを前提にしていますから、
経済対策ではなく、社会保障として考えていることになります。
しかし、経済的損失に対しておこなわれるべき対策は、
あくまでも経済対策でなければならないというのが、わたしの考えです。

作家の百田尚樹氏は、
「今回のコロナウイルスで収入が減った国民のために、お金を給付する話が出ている。それは賛成だが、生活保護の人に給付金を出すのは反対」
などと主張し、その理由については、
「かれらは、今回の騒動で1円も収入が減っていないから」としています。

わたしは、百田氏の主張についても反対です。
生活保護者云々の是非はともかく、
かれもまた、経済対策と社会保証を混同して語っているからです。

政府と与党は、子ども手当の間違いと同じ轍を踏もうとしています。
経済的損失を受けているのは、
特定の労働者だけではなく、日本の社会と日本国民全体です。
経済活動が収縮してしまった現状を打破するために、
政府は、社会保障ではなく、経済対策として、
すべての国民に、一律で現金給付すべきなのです。

なお、失業した人には、失業手当や生活保護を受ける余地があり、
零細事業主については、補償制度がつくられますから、
現在議論されている現金給付とは別の話です。


今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。