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武漢肺炎と経済の再構築

よしをです。
公的な経済支援策はありがたいことですが、
政府や行政が民間企業をサポートするのが当然だと思っている人が、
あまりに多いことに驚かされます。
日本は共産主義国家ではないのですから、
経営者であれば、自分の城を自分で守るのは当然のことで、
国や自治体が助けてくれなかったから倒産したといった類いの、
甘えた主張をするべきではありません。

そもそも、日本は欧米と比べて、創業率が低いのですが、
過去の統計をみると、10年後の企業生存率は10%を切っています。
もっとも、10年廃業率の高さは、それほど異常な数値ではなく、
多くの企業が淘汰されていくなかで、生き残った企業が成長し、
多くの雇用を生み出すという循環があって、
社会のバランスが成り立っているわけです。

しかし、日本社会の実態は、原則的には自由競争を謳いながら、
すでに競争力をもっている側が、
絶対に逆転できないようなアドバンテージをもったまま、
「さあ、競争だ」といっているようなものですから、
おのずと、その自由度には限界があります。
自由競争とか自己責任を強調する人びとも、
その大半は本音では現状維持を希望し、自由競争など望んでいないか、
もしくは、経済的な強者であって、
それが、冒頭にあるような、政府や行政への甘えとなって現れるのです。

日本で自由競争が馴染まないのは、
再チャレンジの機会が少ないことが、最大の原因です。

事業に失敗すると、自分の財産を換価して債務整理をしますが、
借金を払いきれないと、最悪の場合、自己破産することになります。
自己破産は、借金を帳消しにできる強力な債務整理の手段ですが、
デメリットも大きいのです。

まず、自己破産したという事実は官報に掲載されます。
信用情報機関に、事故情報として7~10年間記録が残り、
各種ローンは審査が通らなくなり、あらたな借金ができなくなります。
クレジットカードもつくれません。

自己破産すると、あらたな借金をすることが難しくなるため、
事業を再スタートすることは非常に困難になります。
破産経験者のうち、再チャレンジを実現した割合は、
10%程度であるといわれています。
事故情報が抹消されたあとも、金融機関は自主規程を設けて、
自己破産経験者に貸出を制限する傾向があるため、
再出発を果たした10%の人は、資金調達を、
親族からの支援など、個人的な繋がりでおこなっているようです。

アメリカでは、破産しても、半年後にはクレジットカードがつくれます。
クレジット会社としても、貸し倒れのリスクは大きいのですが、
高い金利を設定することで、ビジネスチャンスと考え、
破産者側は、返済を積み上げて実績をつくれば、
金利や支払期限などの条件が改善されていくというシステムにより、
再チャレンジしやすい環境が整備されています。

アメリカ人には、何度も破産を経験しても、
才能と努力次第で、這いあがってくるというスピリッツや伝統があり、
金融機関にも、一度や二度失敗しても、
有能な人材を見捨てないという、文化が根付いています。
トランプ大統領は、生涯で4度、破産して復活しています。
自己責任や自由競争というのは、アメリカ社会がそうであるように、
公的支援ではなく、起業者本人の努力や才能に任されているのです。

無難な融資先に貸し付けをして、手堅いビジネスをするのが、
日本の金融機関の特徴です。
鶏か卵かの議論になりますが、日本の起業者が冒険できないために、
日本の金融機関も、アメリカの銀行のようなチャレンジをしません。

たとえ、公的支援を受けられたとしても、
今後、国内では、飲食業や観光業などを中心に倒産が続くでしょう。
この苦境を乗り越えて、もう一度這い上がることができるのが、
真の実力がある企業だということです。

厳しいようですが、消滅していくのは、
社会にとって、必ずしも必要ではない企業や事業体なのであり、
公的資金援助を受けられても、いずれ消滅する運命です。
再チャレンジが難しい日本社会においては、
かれらは経営者から労働者側に回って、救済を受けることになります。

畢竟、日本社会の成長のためには、
再チャレンジできる、真の実力をもつ企業を助けることが重要なのであり、
そのために必要なのは、
税金投入による公的資金援助ではなく、金融機関による融資なのです。


今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。