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アメリカにとって最悪のタイミングだった

よしをです。
日本では当たり前だと思われているものに、国民皆保険制度があります。
少子高齢化により、財政問題がクローズアップされていますが、
わたしは、制度の考え方自体は、優れたものだと考えています。

われわれは、保険証さえあれば、
どの医療機関でも、一定の負担額で普通に医療を受けられます。
しかし、海外では、高い医療費のために破産するような事態が、
日常茶飯事で起こっています。
かつては日本でも、1955年まで、自営業者や農業従事者など、
国民の3分の1に当たる3000万人が無保険者でしたが、
1958年の国民健康保険法の改正により、
すべての国民がなんらかの公的医療保険に加入し、
お互いの医療費を支えあうという制度が確立し、
全国どこでも、誰でも、保険医療を受けられる体制となりました。

アメリカには、民間保険制度による医療制度があります。
個人で民間の保険会社と契約する場合や、
勤務先や所属団体が団体保険に加入するケースがありますが、
加入は任意であるため、低所得者層を中心に、
約4000万人といわれる保険未加入者が存在していました。

2010年に、オバマ大統領は、
いわゆるオバマケアと呼ばれる保険制度法に署名しました。
この法律の目的は、国民皆保険を理想としたものですが、
日本の制度とは、かなり異なった内容のもので、
民間の保険会社が提供する保険商品を、
個人がそれぞれ、ほぼ強制的に購入するというシステムです。

政府が決めた方針なので、
保険会社は、加入希望者に既往疾患があっても、療養中であっても、
加入を認めなければなりません。
しかし、保険会社は福祉事業ではありませんから、
保険料がとてつもなく高額になってしまいました。
しかも、基本的に、保険金がおりるまでの治療費は、
自己負担という設定になっているため(保険なので)、
たとえば、「骨折治療100万円」といった高額な支払いを、
個人が建て替えなければならないのです。
低所得層にしてみれば、保険金を支払っているのに、
病院に行けない状態になってしまうため、メリットを感じづらく、
加入者数の伸びは、限定的なものに留まりました。

保障制度が確立している大企業のサラリーマンや公務員には、
痛手はありませんが、
いわゆる中間層にとって、医療費問題は切実です。
トランプ大統領は、巨額の財政支出とともに、
個人の自由を奪う悪法だとして、オバマケアを否定し、
廃案を検討しているというわけなのです。

現在、アメリカでも武漢肺炎がパンデミックを迎えています。
アメリカの感染拡大に関しては、検査体制の遅れが指摘されていますが、
トランプ大統領オバマケア制度の廃止を明確に訴えているため、
医療保険未加入の国民が、
オバマケア導入以前のレベル以上まで、増えてしまったことも、
事態を悪化させている要因だといわれています。
アメリカにおける感染爆発の原因は、保険未加入者の患者が、
医療を受けられずに市中に感染を広げている可能性も考えられます。

従前の民間の保険会社頼りの医療保険体制にも、
オバマケアにも、それぞれ解決が難しい問題があります。
正解を見いだすことは難しいと思いますが、
確実にいえるのは、トランプ大統領オバマケア否定宣言は、
最悪のタイミングだったということです。


今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。