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西欧の寄付運動とタイガーマスク現象

よしをです。

キリスト教の神の特徴は、金が嫌いだということです。

したがって、中世ヨーロッパではキリスト教徒は金融業に従事できず、

金儲けに寛容なユダヤ教徒が、銀行業を独占しました。

 

ローマ教会は、ユダヤ教徒の金融業独占を横目で見ながら、

キリスト教徒にも金融業を認めれば、

もっと裕福になって、お布施の額も多くなるだろうと考えましたが、

金儲けはよくないという教義を変えることができません。

そこで教会は、商売を許す代わりに、その分を寄付するように囁きました。

そうして西欧では、商売で得た利潤を教会に充分に寄付したのち、

自分の住む地域や福祉施設にも寄付するという文化が生まれたのです。

 

日本人は何の疑問ももちませんが、西欧人が驚くことに、

日本のホームレスが、物乞いをしないという事実があります。

西欧のホームレスは、物乞いを生業にしていますが、

日本のホームレスは、町行く人からお金を貰えるとは考えず、

空き缶を集めるなどして、現金収入を得ています。

(正確にいうと、ゴミ収集所からの空き缶の持ち去りは禁止です)。

 

日本人には、「働かざる者、食うべからず」という基本精神が根付いています。

労働や勤勉は崇高な理念であり、収益を得ることも否定されていません。

日本では、五体満足な人間が働かないことは悪であり、

貧困は、社会の構造的な不公平や不平等が原因ではなく、

個人の努力不足だと考えています。

ホームレスも、普通の人間と同じ世界、同じ階層、同じ社会に所属していると、

考えている証拠なのでしょう。

 

日本には、寄付文化が根付いていないなどといわれますが、

西欧の寄付文化は、宗教的な伝統に起因するものであり、

日本人が特別に薄情だというわけでもないのです。

 

2020年12月25日、

群馬県前橋市児童相談所にランドセル10個が届けられ、

人気漫画「タイガーマスク」の主人公・伊達直人を名乗る人物の、

手紙が添えられていました。

マスコミは美談として報じましたが、事態は興味深い展開をみせました。

年が明けると、第2、第3の伊達直人が現れ、

各地の児童相談所に、現金や届け物が相次ぎました。

全国で1000件(3200万円)を超える寄付が集まり、

一連のタイガーマスク現象となったのです。

 

タイガーマスク現象については、匿名の気味悪さが指摘されるなど、

ときに、愉快犯のような扱いをされるケースもありましたが、

日本社会全体の、寄付への関心の高まりを生んだことは疑いありません。

 

2016年12月、最初の伊達直人が名前と顔を公開し、

大きな話題を呼びました。

前橋市在住の43歳(当時)の男性は、

幼少期に母と死別して、ランドセルもない境遇だったいい、

自分が名乗り出ることで、児童養護の支援の拡充になればという気持ちで、

身分を明かしたということです。

 

東京・後楽園ホールでおこなわれた、

初代タイガーマスクの35周年イベントに招待された男性は、

「子どもは虐待されるためではなく、抱きしめられるため、涙を流すためではなく、周りの人を笑顔にするために生まれてきた」と、力強く訴えました。

 

タイガーマスク現象は、その後の災害におけるボランティア運動への、

波及効果もあったのではないかと、個人的に推測するところです。

ひとりの善意によって、社会全体がよい方向に向かっていきます。

日本も、捨てたものではないと、切に思います。

 

 

今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。