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宗教と民衆蜂起の中国史

よしをです。

中国の王朝交代においては、

ほぼ例外なく、民衆蜂起が関わっています。

秦末の陳勝呉広の乱、王莽の新王朝の赤眉の乱

唐末の黄巣の乱などがありますが、

中近世では、宗教団体の扇動による反乱が目立っています。

 

白蓮教は、南宋時代に誕生し、清時代まで存在した宗教で、

古くは東晋(4~5世紀)の浄土教の僧である、

廬山慧遠が創始した白蓮社に起源をもちますが、

白蓮教となったのは、南宋天台宗系の僧・慈昭子元の創始によります。

その教義は、明教(マニ教)と弥勒信仰が習合したもので、

当初から、秘密結社の色合いが濃く、

政府や既成宗教から異端視されていました。

 

元時代になると、革命思想の傾向が強くなり、何度も禁教令を受けました。

近い将来に、衆生を救うために、弥勒菩薩が降臨するという思想は、

王朝や皇帝を否定するものと受け取られたためです。

 

元末に、政治が乱れると、白蓮教の勢力は急速に拡大し、

韓山童を首魁とした民衆蜂起が発生しました。

叛乱軍は、目印に赤い布を身に着けたことから、紅巾の乱と呼ばれました。

托鉢僧あがりの朱元璋は、当初は白蓮教徒でしたが、

元を亡ぼして、明を樹立し、みずからが帝位に立つと、

一転して、白蓮教を弾圧しました。

 

明もまた、農民の叛乱(李自成の乱)で滅ぶと、

満州族が中華に侵入し、清王朝を樹立しました。

その清においても、19世紀になると、民衆の貧困から社会不安が高まり、

民衆の武力蜂起が相次ぎました。

とにかく、同じことを何度も繰り返すのが、中国の王朝末期の歴史です。

 

清末には、2つの宗教団体による叛乱が、相次いで起こりました。

またしても、白蓮教が大規模な農民一揆を扇動しました。

白蓮教は明時代の弾圧に耐え、

清時代になると、邪教として定着していましたが、

地下に潜行して、しぶとく勢力を拡大していたのです。

 

さらに、キリスト教結社の拝上帝会が起こした太平天国の乱は、

阿片戦争を経て、欧米列強に蹂躙されて、

ほとんど虫の息であった、清朝滅亡の決定打になり、

辛亥革命を招く、直接的なきっかけになりました。

 

1992年に、李洪志が創始した法輪経は、

中国の伝統的な健康法である気功と、

道教と古代仏教を組み合わせた修練法で、急速に勢力を伸ばしますが、

1999年になると、江沢民政権は法輪功邪教として活動を禁止し、

弾圧をはじめました。

法輪功実践者の投獄は、数百万人に達するといわれ、

これまで4000人以上が獄死したといわれています。

ネットで法輪功を検索したり、書籍を所持、販売したり、

法輪功の気功を実践することは処罰の対象です。

 

2001年ごろから、

中国国内で、法輪功信者の臓器が売買されているという噂があり、

どうやら、噂にとどまらず、

実際におこなわれているという証拠が、いくつもあがっています。

 

中国政府は、経験則により、国を亡ぼす原因がなにかを知っています。

ひとつが遊牧民族の進入であり、もうひとつは、民衆蜂起です。

少数民族への弾圧や、宗教弾圧は、

その基本政策の一環でおこなわれています。

 

共産党独裁政権は、実質的に、歴代の帝国と変わるところはありません。

また、格差の拡大や官僚の汚職など、

過去の王朝と、まったく同じ社会問題を継承しています。

しかし、いくら取り締まりを強化しても、

15億人の民衆を力で黙らせることは、到底不可能なのです。

 

中国全土では、毎年20~30万件もの暴動が発生しています。

いまのところ、体制を揺るがすほどの規模には発展していませんが、

絶望的な将来を悲観して、キリスト教信者になる者が増え、

その数は、全国で1億人以上に達するという推計があります。

 

もし、太平天国洪秀全のような、

カリスマ的なキリスト教指導者が生まれたらどうなるのか。

中国は、時計のない時限爆弾を抱えているのかもしれません。

 

 

今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。