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暗闇団子

よしをです。

 

わたしの好きな短編小説に、
島田荘司さんの、「暗闇団子」という作品があります。
島田作品といえば、名探偵御手洗潔や吉敷竹史シリーズといった、
現実世界を舞台にした推理小説が有名ですが、
この作品は、珍しく江戸時代を舞台にした作品で、
わずかに、謎解きの要素を入れながら、恋愛小説でもあるという、
島田荘司らしくない作品に仕上がっています。

ある発掘調査により、
学校の敷地から、樽に入った男女の人骨が見つかりました。
それは、どうやら江戸時代のものらしく、
人骨とともに、埋葬されたと思われる小壺のなかには、
暗闇団子と書かれた紙片と、精巧な作りの櫛が見つかりました。

場面はかわって、江戸時代、
ある若い奉公人が、吉原で美しい花魁を目にし、魅了されました。
男は、金をためて、ようやく花魁の座敷にあがることができ、
やがて、花魁と昵懇になりました。
ある日、花魁は吉原の火事にまぎれて、男の元に逃げてきました。
追手から逃れるために、しばらく隠れていましたが、
花魁の発案で、二人で、商売を始めることになります。

まるで、落語のような展開で、
読了後、すぐに、志ん生の「幾代餅」を思い出しました。
「幾代餅」では、花魁の幾代太夫が、
奉公人の清蔵の元に嫁に来るという、ハッピーエンドで終わりますが、
「暗闇団子」の場合は、
主人公の二人は、悲しい結末を迎えることになります。
ここから先は、ネタばれになるので止めておきますが、
若い二人の純愛物語は、思わず涙を誘います。

おそらく、わたしは20年以上も前に読んだ作品だと思いますが、
イメージは鮮烈に残っており、
先日、取引先との会話で、久しぶりに、この作品の話がでたので、
備忘として、紹介しておきたいと思います。

「暗闇団子」は、光文社文庫の「踊る手なが猿」に収録されています。
多分、絶版になっていないと思いますので、是非。
おすすめの作品です。


今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。