さあ来い 卒サラ!          ~悔いのないセカンドライフを目指して~

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蜘蛛の糸

よしをです。

 

芥川龍之介の「蜘蛛の糸」は、

小学校の国語の教科書にも掲載されている有名な作品です。

 

そのあらすじは、

カンダタという強盗殺人犯が地獄に堕ちました。

お釈迦様が慈悲の心から、

カンダタを救おうと、蜘蛛の糸を垂らします。

お釈迦様は、カンダタが生前、唯一、よい行い(蜘蛛を助けたこと)を

したことを、思い出したのです。

カンダタは、目の前に垂れてきた細い糸に気がつき、

極楽を目指して登り始めますが、

地獄の亡者たちが、次々と続いて糸につかまって登ってくるのを見て、

亡者たちを振り落としていると、糸がぷつりと切れ、

カンダタは、また地獄に堕ちてしまいました。

 

わたしが、教科書でこの作品を読んだときに思ったのは、

蜘蛛の糸は意外に強い、ということでした。

 

小学生の直感の通り、実際に産業界でも、

蜘蛛の糸の性質に着目し、製品化する動きがあります。

自然の仕組みを模倣することで、

問題を解決する科学技術を、「バイオミミクリー」といい、

最近の例では、ヤモリの脚の吸盤にヒントに開発された、

日東電工の「ヤモリテープ」という接着テープがあります。

蜘蛛の糸の産業化も、

バイオミミクリーの最先端技術に、成長しつつあります。

 

カナダのバイオ企業は、遺伝子組み換え技術を使って、

ヤギに蜘蛛の糸の組成に近い、タンパク質を含む、

乳を出させることに成功しました。

残念ながら、商業化には成功しませんでしたが、

このほかにも、さまざまなアプローチによって、

人工的な蜘蛛の糸の量産が、現実化しようとしています。

 

日本の山形県ベンチャー企業は、

強度は鉄鋼の4倍、伸縮性はナイロン以上、耐熱性は300度を超える、

驚異的な人工蜘蛛の糸を開発しました。

 

これも、日本のベンチャー企業の例ですが、

遺伝子組み換えDNAを用いて、微生物に蜘蛛糸のタンパク質を、

生成させる試みが成功しました。

抽出したタンパク質を粉砕し、極細の針先に空いた穴を通して、

細い糸を形成するという方法です。

文章にすると、単純な話のようですが、

タンパク質の抽出、粉砕、針の穴の形成などのミクロの技術は、

想像を絶するものがあります。

この企業のリリースによると、

1グラムのタンパク質から、1万メートルの糸ができるそうです。

 

タンパク質でできた蜘蛛の糸は、

化学繊維のように石油を必要としないことが、最大のメリットですが、

もうひとつの特徴として、低エネルギーで生産できる利点があります。

既存のさまざまな産業製品との代替が可能で、

自動車や飛行機などの輸送機器や電子機器、

手術用の縫合糸や人工血管といった医療製品など、用途は無限大です。

 

こんな強靭な蜘蛛の糸なら、亡者は何人でもぶら下がれそうです。

 

 

今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。