中国の贋作事情
よしをです。
中国では、長らく、骨董品の贋物づくりがおこなわれていますが、
昨今の富裕層の増加などの要因によって、
骨董品の需要が高まり、贋物製作が産業化しているということです。
中国全土で、骨董品の偽物がつくられています。
現在、全国で10万人を超える人々が骨董品の贋作に従事していて、
贋作の年間取引額は、100億元(1200億円)以上にのぼるといいます。
まさに、一大産業です。
なかでも河南省は、贋物製作の一大産地だといわれています。
ある300世帯ほどの小さな村には、20以上もの贋作工場があるそうです。
贋作工の熟練の技で、陶磁器は、当時と同じ工法と土でつくられ、
器体や絵付けは本物と比べても、ほとんど遜色がありません。
たとえば、唐三彩は、酸などで腐食させ、最後に、わざと一部を壊します。
あるいは、破損した部分に、ホンモノの破片をつなげ、ホンモノに見せかけます。
磁器の場合は、完成後、2~3年ほど、土に埋め、
掘り出したあとで、塩酸などで、経年劣化に見せかけた加工をおこないます。
磁器の釉薬のうえに土が張り付き、
あたかも、長い時間、土中にあったように見えるのです。
銅器は、成形したのち、職人が、手でこすり、叩いてゆがみをつくり、
薬品で腐食させる加工をおこないます。
このように、専門家でさえ、ホンモノと見分けがつかないほど、
完成度の高い作品は、田舎から北京や上海といった大都市に運ばれ、
骨董市場や、オークションにかけられます。
中国では、まさに、国ぐるみで、贋物のロンダリングがおこなわれています。
北京の潘家園骨董市場は、公認の骨董市場ですが、
残念なことに、その大多数が贋作であるといわれています。
正規の骨董市場やオークションを経由した偽物は、
ホンモノのお墨付きを得られます。
そのようにして、ホンモノのお墨付きを得た偽物は、
中国全土だけでなく、海外(日本にも)に、流通していくのです。
現在、日本国内で流通している唐三彩、
たとえば、ラクダに乗った胡人の像などは、
私見ですが、(ホンモノ1)に対して、(偽物100)の割合でしょう。
地方の骨董市などに行くと、よくわかりますが、
国宝級の唐三彩(贋物)が、ゴロゴロあります。
先述のように、鑑定は、専門家でも難しいといわれています。
それは、中国陶磁が、
古代から、非常に完成度が高く、作陶が継続しているためです。
景徳鎮では、
数百年前から、現在と変わらぬ工法と材料で、作品がつくられ続けています。
人を騙すために偽物をつくるのか、
それとも、美術品や模写として世に出すのかは、決定的な違いです。
いつの時代、どの国でも、贋作はつくられており、
日本も、例外ではありませんが、
これほどまでに、故意の贋作が横行し、
まるで、開き直ったかのように、産業化している、中国の現状は、
日本やほかの国とは、まるで事情が違うと思うのです。
(贋作は、隠れてつくるもの、というイメージをもっています)
現在の中国には、拝金主義や、利己主義が横行しています。
古代と比べて、倫理観が劣化しているように感じ、非常に残念です。
今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。