終身雇用制度の「ゆらぎ」
よしをです。
日本の終身雇用制度には、3つの特徴があります。
解雇しないこと、定期昇給や昇格をすること、定年退職金が出ることです。
経済が右肩上がりの時代なら、その考え方でよかったのでしょうが、
経済が長期の停滞期に入り、成長が鈍化、あるいは縮小に転じると、
旧来モデルが通用しなくなります。
雇用制度が、3つの特徴を維持することで、
社員の既得権益は拡大していきますが、
経営側には適切な対応がといられていません。
ベテラン社員になればなるほど、賃金と生産性が大きく乖離していき、
企業から、対外的な競争力を奪っていく結果になります。
それだけでなく、
一部の社員がモンスター化したり、精神疾患になっても、
経営としては、積極的にレイオフすることが難しいため、なす術なく、
60歳の定年まで、さらには、65歳までの再雇用まで、
不良社員を養育し続けなければならないのです。
日本型の終身雇用制度は、昨今、崩壊しつつあります。
しかし、国内では、リストラや肩たたき、辞職勧告は、
いまだに、否定的にとらえられるケースが多いため、
企業は、大胆なリストラに踏み切れないという現実があります。
一方、各企業が、早期退職制度を活用して、
希望退職を募るケースは、増加傾向にありますが、
職を離れた中高年が、途方に暮れてしまうというケースが多く見られます。
日本の社会全体において、欧米に比べて転職率が、極端に低く、
ひとつの企業に長く勤めたいという志向のサラリーマンが大多数です。
公的機関などにおいても、中高年の転職や、
いわゆるセカンドライフを、ポジティブに支援するシステムが、
整備されていないため、
中高年自身の意識が、幼稚なまま、留まっています。
「いい歳をして、自分の将来ぐらい、自分で考えろ」と、
いいたいところですが、
要するに、かれらは、心の準備ができていない状態にあるのです。
むしろ、若い世代のほうが、終身雇用にこだわらず、
転職にも抵抗感がないように見受けられます。
つまり、終身雇用制度の崩壊とは、正社員制度の崩壊、
すなわち、総非正規雇用化を示しているというわけなのです。
いまがちょうど、終身雇用制度が終焉を迎える過渡期なのかもしれません。
今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。