大学教授への安易すぎる道のり
よしをです。
1985年に大学教員の資格が緩和され、
それ以来、実務家教員(いわゆる社会人教授)が、どんどん増えています。
社会経験豊富なキャリア官僚や、メディア関係者、企業人が、
かなり容易に、大学教授になれる時代になりました。
欧米の大学で、大学教授になるためには、
博士号の取得と、大学での研究や、教育の実績が必要です。
しかし、日本の場合は、きわめて規定が曖昧で、
大学教授になるための、法的資格や資格試験もありません。
もちろん、日本の大学においても、
一般的には、大学院を修了して、研究者としてスタートし、
非常勤講師や研究員などで業績をあげて、専任講師や研究員に登用され、
やがて、助教、教授への道につながるという、正当なコースもあります。
しかし、正当なコースを辿らず、
サラリーマンや公務員が、大学院に進学し、修士課程を修了しただけで、
大学教員になるようなケースが増えてきているのも事実です。
大学教授への転進は、サラリーマンや公務員に限りません。
一部の私立大学では、
有名人を教授として起用したり、マスコミ関係者らを起用することが目立ちます。
言葉は悪いですが、ひと昔前、ただの女子アナウンサーだった人が、
久しぶりにテレビに登場したと思えば、
大学教授を名乗って、コメンテーターに収まっているパターンについては、
正直なところ、違和感を隠せません。
文部科学省が定める大学設置基準によれば、
大学教員になるための条件について、以下の5項目が示されています。
①博士の学位を有し、研究上の業績を有する者
②研究上の業績が、①に準ずると認められる者
③大学において教授、助教授または専任講師の経歴のある者
④芸術、体育等に、特殊な技能に秀でていると認められる者
⑤専攻分野について、とくにすぐれた経験を有すると認められる者
問題は、⑤項です。
専攻分野とは何の事かという疑問がありますが、
おそらくは、「一芸に秀でる」という程度の意味でしょう。
その専攻分野(一芸)が、
学術部門に限らず、ビジネスやアナウンスでもOKということなら、
女子アナ教授が増殖する理由も、理解できるというものです。
18歳人口は1992年をピークに減少に転じ、大学受験者も年々減っています。
今や、大学全入時代になり、
私立大学の40%、私立短大の60%が、定員割れになっているのが現状です。
経営危機となった私立大学では、より多くの学生を獲得するため、
受験科目を削減してAO入試を取り入れたり、推薦入試枠を増設したりして、
経営改善のため、必死になっています。
そのほかの対策の一環として、
有名タレントやスポーツ選手を入学させるイメージ戦略や、
就職対策に力を入れるといった戦略をすすめています。
就職対策の即戦力として、サラリーマン教授が重宝され、
さらに、それが著名人であれば、
広告塔としても、役割を持たせることができるというわけです。
大学教授への道は、
卒サラの、次のステップとしての可能性も考えられるわけで、
もう少し掘り下げて、研究しようと考えた時期もあったのですが、
大学側のお寒い事情から、需要が高まっているというわけですから、
残念ながら、わたしの触手は動かなくなりました。
今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。