さあ来い 卒サラ!          ~悔いのないセカンドライフを目指して~

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どこまでが贋作なのか

よしをです。

 

骨董蒐集の起源といわれると、なかなか難しいのですが、

たとえば、ローマ時代に、ギリシアの美術品を購入して、

邸宅内で飾るようになったのが、

骨董蒐集の起源のひとつかもしれません。

 

ルネサンス時代になると、

古代ギリシアや、ローマ時代の芸術品は、

西欧の王族などによって、買い漁られるようになりましたが、

こうなると、昔も今も変わらないのが、贋作づくりです。

 

ミケランジェロは、メディチ家の支援のもと、

古代彫刻の贋作づくりをしていたという記録があります。

メディチ家の貴族が、

ミケランジェロに制作させた「キューピッド像」を、

土中に埋めて、古色をつけたのです。

このからくりは、見破られてしまうのですが、

ミケランジェロの作品が、あまりに見事だったため、

「キューピッド」を購入した貴族が、

バッカス像」を追加で注文したという、

エピソードが残っています。

 

西欧のアンティーク商の元祖といわれているのは、

ヤコポ・ストラーダというイタリア人です。

かれは、16世紀の初頭に生まれ、

自らも、建築士や金細工師として活動しましたが、

教養と知識を磨き、

当代きっての古代美術の目利きとして、有名になりました。

ストラーダは、ヨーロッパの王侯貴族に、

骨董品を売りさばいて、巨万の富を築きましたが、

当時のヨーロッパの王侯貴族は、偽物をつかまないように、

こうした一流の目利きを必要としていたのでしょう。

 

贋作の範囲を特定する場合、

ルネサンス時代につくられた、古代ギリシアを模した彫像は、

ミケランジェロ作ではなく、無名の作家の作品だとしても、

現代では、贋作ではなく、

ルネサンス時代につくられた、正規の骨董品として、

評価されると思います。

 

しかし、「モナ・リザ」や、

フェルメールの「レースを編む女」の贋作は、

どれだけ古い時代の作品であっても、ただの贋作です。

同じように、狩野探幽の最高傑作「雪中竹梅遊禽図」を模して、

江戸末期に描かれた贋作は

、いくら見事な出来ばえであっても、

江戸末期に描かれた美術絵画ではなく、

やはり、ただの贋作の扱いしかされません。

 

美術制作を学ぶ際、

作品の模倣がおこなわれるのは普通のことですが、

有名な作品の模写や模造は、

洋の東西を問わず、ご法度です。

なぜなら、有名作品の習作というのは、

それだけで、悪意のある贋作づくりの疑いを、

かけられることになるからです。

 

 

今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。