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植物の毒性

よしをです。

かつて欧米では、家畜の乳を飲んで亡くなる事例が多くありました。
19世紀のアメリカ中西部では、
数千人が牛乳を飲んで死んでしまう事例があり、
「ミルク病」といわれていました。

長らく原因不明だったのですが、詳細な調査により、
放牧された牛が、おもに、
マルバフジバカマという雑草を食べていたことが、わかりました。
マルバフジバカマは、トリメトルという神経毒を含んでいて、
牛が食べても平気なのですが、乳に毒が蓄積し、
それを飲んだ人間に、悪影響を及ぼしていたのです。

ミルク病の原因が、マルバフジバカマだと突き止めたのは、
ある女性医師でしたが、
地元の原住民の女性から、その情報を得ていました。
インディアンの間では、この植物に毒があることは、
古くから知られていたのだそうです。
人びとが、家畜の放牧地から、マルバフジバカマを根絶して、
現在は、ミルク病の報告はなくなりました。

キツネノテブクロという植物には、
ギジトキシンという毒物が含まれています。
この植物を食べると、吐き気、下痢、幻覚、不整脈などの症状が現れます。
視覚に影響を与える症状もあり、
物がぼやけて、黄色っぽく見えることがあるそうです。

画家のゴッホには、この視覚症状が現れたといわれています。
ゴッホの作品期である、「黄色の時代」には、
黄色やセピア色っぽい色調の作品が多く作画されたのですが、
この時期、ゴッホの心臓発作を治療するための薬に、
キツネノテブクロの成分が、処方されていたのです。

麻薬と芸術性との関りも取りざたされますが、
薬物作用が芸術を生み出すというのも、不思議なものです。
(もちろん、麻薬の正当化の意図はありません)。

ギリシアの哲学者、ソクラテスの処刑には、
ドクニンジンが使われました。
プラトンの「パイドン」には、
かれが毒の盃を飲み干すと、やがて四肢が力を失い、
徐々に体が硬くなり、静かに息絶えたという記述がされています。
しかし、ドクニンジンの中毒症状としては、
嘔吐、神経麻痺、呼吸困難などがあり、その苦痛について、
医師ニカンドロス(前2世紀)は、「解毒剤」という著書で、
七転八倒の苦しみ」であると記述し、
安楽死とは程遠い、症状が報告されていますが…。

わたしは、プラトンの描写を信じたいので、
毒杯の中には、ケシなどの麻薬が処方されていて、
ソクラテスの苦痛を和らげたのではないかと想像しています。


今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。