任意のインフルエンザ予防接種
よしをです。
今年の冬、インフルエンザが大流行しています。
流行の中心は、おもにA型で、国内の患者は、200万人を超えています。
予防には、手洗いやマスクなどが有効ですが、
対策をしたつもりでも、運悪く、罹患してしまう可能性があります。
なんといっても、予防接種に勝る対策はないでしょう。
少し古い資料ですが、
厚生労働省によれば、2015~16年には、
約5000万人が、インフルエンザワクチンを接種したということです。
国民の半分近くが、予防接種を受けているという反面、
まったく注射を打ったことがないという人もいます。
予防接種を受けないという人は、
「今まで、罹ったことがないから」、「予防接種を受けたのに、罹ったことがある」、
「副作用が心配」、「費用がかかる」、「打たない方がいいと聞いた」、
などの理由を、挙げることが多いようです。
確率論でいえば、多くの場合、
ワクチンを接種しなくても、罹患しない確率が高いことは、間違いありません。
実際に、大流行の今年でも、
インフルエンザの患者は、日本の人口の5~6%程度に過ぎません。
(これから、さらに拡大する可能性はありますが)。
しかしワクチン接種によって、罹患する可能性を下げられることや、
罹患した場合の、症状を軽減する効果が、認められていることを考えると、
予防接種しないという理由は、思い当たらないように思うのです。
それでは、実際に、予防接種に本当に効果があるかどうかの疑問に、
答える必要がありますが、
世界各国で、さまざまな調査がおこなわれており、
ワクチン接種により、社会全体で、60%以上の罹患削減効果があることや、
症状の軽減や、肺炎などの重症化を減らす効果も、認められていますから、
まずもって、効果を疑う余地はないと考えられます。
また、個人単位では、先述のように、
罹患の可能性は、あくまでも確率によるものですが、
集団で考えた場合、
予防接種には、大きな抑制効果があることがわかっています。
世界では毎年、1万人ほどが、インフルエンザで亡くなっていますが、
日本国内における、肺炎とインフルエンザによる死亡者数の推移をみると、
1960~1980年代が、極端に少なくなっています。
なぜなら、1961~1987年まで、日本国内の小中学校では、
インフルエンザ接種が、義務づけられていたからなのです。
ちなみに、アメリカでの死亡者数は、経年でほとんど変化はありません。
小学校でのインフルエンザ接種の義務化の施策が、継続しているため、
変化がない(おそらく死亡者数は抑制されている)のだと考えられています。
インフルエンザは、学校や公共交通機関など、
人が密集する場所で、感染が拡大し、
家庭では、子どもから親へ、罹患が広がるのが一般的です。
学校での集団接種には、社会全体への予防効果があるのです。
その効果が、社会全体で60%の抑制効果という結果に表れています。
単純計算になりますが、今年の大流行に関しては、
(200万人)×(60%)=120万人まで、抑制できたということになります。
もちろん、ワクチンにはデメリットもあります。
費用(コスト)は別として、副作用は気になるところです。
非常に稀なことですが、重篤な副作用には、
呼吸困難を引き起こすアナフィラキシーショックや、
ギランバレー症候群(神経の麻痺)、急性散在性脳脊髄炎などがあります。
「予防接種は任意なのに、摂取しない人を悪者扱いするのはおかしい」
「…任意なのに」
ごく低い確率ながら、上記のような、重篤な副作用の可能性があるため、
小中学校での予防接種義務化が、なくなったという経緯があります。
しかし、実際にインフルエンザで亡くなる人の数との比較で考えれば、
自ずと、義務化の復活という答えが出ると思うのです。
今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。