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不正融資を引き出す悪徳商法

よしをです。
昨今の金融機関の不正融資問題などを受けて、
不動産投資の融資基準が厳しくなり、
各銀行は、サラリーマン投資家に、フルローンを認めなくなりました。

しかし、最近、二重売買契約という手口を使って、
フルローンをつける悪徳業者が、暗躍しています。
二重売買契約とは、不動産販売会社と物件購入者の間で、
取引金額の異なる、二通の売買契約書を作成し、
金融機関から融資を多く引き出す手法です。
二重売買契約というのは、
あたらしい手口ではなく、古典的なものなのですが、
金融機関の融資が厳しくなってから、増えているようなのです。

契約書の一通は、本来の取引価格が書かれてある正式な文書で、
もう一通は、実際より高い金額が記載された、架空の契約書です。
金融機関には、架空の契約書を提出して、
融資審査を受けるという手法です。

金融機関は、賃貸物件への融資をおこなう際、
実際には、物件の担保価値に加えて、実際の入居率や、
融資希望者の属性なども勘案して、融資金額を決定します。

担保価値に対する融資割合を、
60%に設定している銀行があると仮定します。
取引価格が8千万円の物件について、
担保価値を8千万円と評価した場合、融資上限額は4800万円です。
一方で、取引価格1億3400万円の架空の契約書を銀行に提出し、
担保価値が額面通りに評価された場合、
8千万円の融資を受けられることになります。
つまり、この場合、融資希望者は、
8千万円のフルローンを受けられることになります。

これには2つの問題があります。

まず、架空の契約書を金融機関に提出する行為は、
私文書偽造になるということです。
最悪、銀行からの融資が中止される可能性があります。

もうひとつの問題は、
過剰な融資を受けることになり、返済の負担が増すことです。
たとえば返済期間を同じとして、
4800万円を借り入れた場合と、8千万円を借り入れた場合では、
返済額は、当然ですが倍近く異なります。

二重売買では、さらに巧妙な手口も使われています。
業者が、本来の売買価格よりも高い金額の契約書を作成し、
金融消費貸借契約と決済の間に、覚書を取り交わします。
覚書には、
「売主と買主の協議により、契約金額から〇〇円減額する」、
という記載がしてあります。
銀行には、高い金額の融資額を申し込み、
融資が通ってから、契約内容を書き直すという手法であり、
但し書きがあるため、私文書偽造に該当しないというのです。
(もちろん、これも詐欺行為に該当します)。

悪徳業者は、物件の入居率をごまかすために、
レントロールを偽造することも躊躇いません。
入居を装うために、
郵便受けに架空のネームプレートを書いたり、
部屋にカーテンをかけておくといった小細工をおこない、
銀行の審査をごまかそうとします。

このような手口で、金融機関を騙して融資を引き出すのですが、
契約さえ取れれば、こちらのものとばかり、
業者は物件を売りっぱなしで、その後は一切フォローしません。

フルローン融資を受けられたことで、
「自己資金が必要なくなった」、などと、安心していると、
返済に耐えられず、一気に破綻する可能性があります。
もともと、その物件は、4800万円の信用しかないと、
銀行が認定しているのですから、
8千万円の返済に耐えられる収益力はないのです。

二重売買が発覚すると、その不動産取引業者は、
融資元の金融機関から、出入り禁止になるだけでなく、
当該の金融機関以外にも、ブラックリストが回るのが通常です。
しかし、これらの業者は、会社や代表者の名義を変えて、
何度でも蘇ってくるので、きりがありません。
買手側も犯罪行為に加担することになることを、
自覚しなければいけません。


今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。