さあ来い 卒サラ!          ~悔いのないセカンドライフを目指して~

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内戦とデフォルトと逃亡者

よしをです。
第二次世界大戦の混乱の中、
1943年に、レバノンは、フランス委任統治から独立しました。
しかし、国家としての成立当初から、民族、宗教が複雑に絡み合い、
キリスト教イスラム教の争いが絶えませんでした。

1948年のパレスチナ戦争では、パレスチナ難民が大挙押し寄せ、
民族、宗教問題は、さらに複雑化しました。
さらに、1970年のヨルダン内戦では、パレスチナ難民とともに、
パレスチナ解放機構(PLO)の活動家が入り込み、
ベイルートを拠点にして、対イスラエル武装闘争を展開しました。

1975年には、国内のキリスト教勢力(マロン派)とPLOの内戦が起こり、
シリア、イスラエルが介入して泥沼化しました。
この内戦は15年続き、レバノン国内は疲弊しました。
1980年代には、内戦と同時進行で、
イスラムシーア派武装組織ヒズボラが台頭し、
レバノン南部を実質的な支配下に置き、
レバノンは、いまなお、内戦状態が続いています。

シリア、イスラエルとの国境地帯は、治安情勢が悪化していますが、
レバノンの首都ベイルートは、内戦からの復興がすすみ、
「中東のパリ」と謳われる、美しい町並みが蘇りました。
この美しい町並みを見ると、戦争やテロとは無縁に思えますが、
いつテロが起きてもおかしくない情勢であることに、変わりありません。

ベイルートの各銀行が実施している、
ドル建て預金の引き出し制限を月1000ドルまでとする、
海外送金の規制を端緒に、
昨年秋、抗議者が暴徒化して、銀行を襲撃する事件が起こり、
その後、携帯電話への課税強化に反対する、大規模なデモ隊が、
治安部隊と衝突する事件も発生しています。

これらの反政府デモにより、10月末に、ハリリ首相が辞任し、
12月に、ディアブ元教育相が新首相に指名されましたが、
無政府状態に近い混乱状態が落ち着く様子はありません。
そして、ついにティアブ政権は、
償還期限を迎える12億ドルの外貨建て国債の支払いができずに、
デフォルトに陥りました。

日本から逃亡した、カルロス・ゴーン被告は、
ベイルートの最高級住宅地デゥリバン通りに建つ、
時価800万ドルの高級住宅に住んでいるといわれていますが、
既報のように、この不動産の名義は、日産自動車になっていて、
いずれ、ゴーン被告は、この住居から退出することになると思われます。

レバノン国内では、ゴーン被告の主張に理解を示す意見がある反面、
かれを、汚職の筆頭格として、糾弾する動きもあるといいます。
レバノンでは、若者の失業率が深刻であり、
政府や銀行に留まらず、
富裕層に対しても、怒りの刃が向けられてもおかしくない状況です。

レバノンに留まる限り、
日本の検察が、ゴーン被告を拘束する術はありませんが、
このまま、かれが、レバノンを出国できない状況が続いた場合、
自身の安全や財産が担保されるのかどうかは、わかりません。

結果として、日本で裁判を受けておいた方がよかったと、
後悔する状況が来るのかもしれません。


今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。