さあ来い 卒サラ!          ~悔いのないセカンドライフを目指して~

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他者に己が運命を任せてはいけない

よしをです。
スーパーマーケットや、コンビニエンスストアの店舗には、
店舗独自商品である、プライベートブランド(PB)商品が並んでいます。
中身はナショナルブランド(NB)と同じで、パッケージもほとんど変わらず、
一般的に20~30%、価格が安い印象があります。
独自商品といっても、小売店チェーンが自社開発したわけではなく、
メーカーが、当該小売店チェーン向けに開発した商品です。

中小のメーカーにとって、PBを手掛けることにはメリットがあります。
取引のロットが大きく、売上高を伸ばすことが可能だからです。
自社の営業が、個別に量販店に売り込む必要がなく、
広告を打つ必要もありません。
その反面、仕入れ条件は厳しく、売上がPBに偏りすぎると、
コンビニやスーパー本部の方針に逆らうことができなくなるという、
デメリットがあります。

わたしの会社と取引のあった、北陸に本社がある食品会社が、
昨年の夏に倒産してしまいました。
この会社は、1927年創業の老舗製麺会社で、
県民の誰もが知る、馴染みの商品は、
かつては、県内のほぼすべてのスーパーに展開していました。

おそらく90年代ごろから、
当時、県内で圧倒的な店舗数があったサークルKと取引を開始し、
売上高も右肩上がりに増えていきました。
2000年代前半からは、サークルKのPB商品を手掛けるようになり、
やがて、ほとんどの自社ブランドを廃止して、
サークルKのPB商品の製造に切り替え、
効率化に舵を切ったのですが、急成長は長く続きませんでした。

サークルKの独壇場だった北陸地方に、
大手のコンビニチェーンが、続々と参入してきました。
サークルKは、他社との対抗上、
商品の入替や、仕入れ原価の圧縮などで対抗をはかり、
メーカー側にとっては、取引条件が、どんどん厳しくなってきました。

サークルK自身も、業界再編の波にさらされました。
2004年にはサンクスを吸収合併してサークルKサンクスとなり、
さらに、仕入れ圧縮などの効率化がすすみました。
この製麺会社にとって、PB商品は経営を圧迫するお荷物となり、
ついに、PB商品の製造から撤退することを決めたのですが、
すでに手遅れでした。
会社は、同業他社との競争に打ち勝つ体力を失っていたのです。

自社ブランドを再構築する方針転をおこなったのですが、
商品を売り込むための営業力を、一から構築し直すためには、
大きなエネルギーが必要でした。
また、製麺会社特有の事情もありました。
もともと麺類は、過当競争であり、新規の棚の確保が難しく、
スーパーの特売品に指定されることも多いため、収益性が悪いのです。

この会社は、
PB商品増産のための、大規模な設備投資を回収することができず、
ブランド力を回復することも叶わず、
資金繰りが切迫し、ついに倒産に追い込まれました。

その後、サークルKサンクスは、
2016年に、親会社のユニーが、ファミリーマート経営統合したことにより、
2018年には、すべての店舗がファミリーマートとなって、
サークルKサンクスのブランドは消滅しました。
この経営統合によって、PB商品を製造していたメーカーは、
さらに淘汰されていったのではないでしょうか。

安易な道をたどってしまうと、
一旦歯車が狂った場合、まっしぐらに破滅に向かってしまいます。
現在、隆盛を誇っている大規模小売店といえども、
倒産することもあり、経営方針が突如変更になることもあるのです。
この製麺会社の例は、
自分の将来を、他者に預けることは危険であり、
たとえ回り道のようにみえても、
経営者には、地道な経営努力が求められるという教訓です。


今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。