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大蛇と巨亀と象と

よしをです。
古代インド人が想像した地球の姿は、
大蛇のうえに巨大な亀が乗り、甲羅の上に3頭の象が立ち、
半球状の大地を支えているというものです。
亀が登場する宇宙観を現す神話は、アジアでは一般的で、
東南アジアの数々の神話や、高句麗創世神話
いくつかの古代中国の書物にもみられます。
古来から中国では、
青龍、白虎、朱雀、玄武の4神が、方角を示す神獣とされていますが、
玄武は、亀と蛇が合体した姿をしています。

中国にも、亀が登場する神話がたくさんあります。
史記」では、天地を支える柱が折れたとき、
女媧は、巨大な亀の足を切り、四方の柱としました。
また、「列子」には、巨大な5つの山を固定するために、
天帝が15匹の巨大な亀を呼んで、5つの山をそれぞれ亀の頭にのせて、
6万年ごとに3交代するように命じたとあります。
実にダイナミックです。

中国とインドの神話に繋がりがあるかどうはわかりません。
神性を有するのは、インドではウミガメであり、
中国では、スッポンなどの淡水性の亀という違いがありますが、
長寿や神秘性など、亀に対する共通するイメージがあるのは確かです。

日本では、インドや中国のような、ダイナミックな亀の活躍は見られません。
神武東征の折、大きな亀に乗った釣り人に案内されたという記述があり、
あるいは、浦島太郎などの民話にも、亀は登場しますが、
インドや中国のように、ガメラ級の巨大亀が登場することはなく、
どちらかといえば、主人公ではなく、添え物的な立場です。

残念なことに、古代インドの宇宙観として紹介されている、
例の、蛇のうえに亀と象が乗って世界を支える図は、
のちの創作である可能性が高いというのです。
この図は、19世紀のドイツの通俗本がオリジナルの初出であり、
西欧人が、アジアを見下す意図で、
インドの思想を、面白おかしく描いたもののようです。
現代まで伝えられてきたのは、「無知なインド人」という共通認識が、
根強くあったということなのかもしれません。
実際には、インドでは天文学や数学が高度に発達していて、
5世紀には、すでにかれらは、地球が球体であることを認識していました。

それは、中国の宇宙観においても同様で、
中国人は、紀元前から、空間概念をもっていました。
紀元前2世紀の漢の時代に、劉安が記した「淮南子」には、
「宇」は天地四方を、「宙」は古往今来を現すという思想が登場し、
「宇宙」は、時間と空間を現わす言葉として紹介されています。

しかし、それにしても、インドの宇宙図はインパクト抜群で、
わたしは、のちの創作であるとは信じたくない気持ちが強いです。
大蛇や巨大な亀や象が大地を支える世界について、
インドの人びとは、フィクションであることを理解したうえで、
昔話のように、大人から子どもに伝え、楽しんでいたと考えたいのです。


今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。