労働生産性と働き方改革
よしをです。
すでに仕事始めを終わられた人もいると思いますが、
わたしは明日(1日7日)が仕事始めです。
幾つになっても、長期休みの後の出勤初日は憂鬱なものです。
さて、今年は、働き方改革が、法制度上でも、大きく動く1年になりそうです。
働き方改革が語られるなかで、注目されているのが、
労働生産性をめぐる議論です。
労働生産性について、
日本は、主要先進国のなかでも、効率が悪いとされています。
労働生産性が低いといえば、
いつまでも、だらだらと残業や、会議をしているイメージがありますが、
実態はどういうことなのでしょうか…。
少し古いデータですが、
2016年の労働生産性の高い国、①~⑤位について、特徴を調べてみました。
通信事業の規制緩和がされている
欧州最大の金融センター(労働人口の20%が金融関連に従事)
重工業など、海外資本の誘致に積極的
1990年代から労働生産性が急激に向上
IT産業の急速な発展
サービス業でも、対価を受け取るシステムが確立
人口が少なく、サービス業の比率が低い
産油国である
⑤スイス
精密機械などの高付加価値産業や、金融、保険業が発達
ちなみに、主要7か国に限ると、統計が始まった1970年以降、
G7のなかで、日本はすっと最下位が続いています。
②ドイツ
③フランス
④イタリア
⑤イギリス
⑥カナダ
⑦日本
金融センターや、資源をもつ国、特定の産業に特化した国や、
外国資本比率が極端に高い国、
特定の高付加価値産業をもつ、人口の少ない国で占められています。
アメリカの労働生産性については、IT産業が躍進していることもありますが、
もう一方の要因として、
サービス業の在り方が、日本とは決定的に異なることがあげられます。
日本は、サービス業が、ある意味、過剰に発達している特殊な国ですが、
アメリカのように、サービス業が対価を受け取るケースは限られています。
そのことが、日本の労働効率の低下につながっているのです。
何度でも再配送してくれる宅配便の存在や、店舗での包装サービス、
過剰ともいえる衛生状態の維持、
24時間営業や、年末年始休みなしの小売店や飲食店、等々。
日本において、これらのサービスは、すべて、プライスレスなのです。
ちなみに、自宅まで新聞を宅配してくれる国は、先進国でも少なく、
アメリカでは、新聞は庭先に投げ込まれて終わりです(雨の日でも!)。
ビジネスシーンでも、同じことがいえます。
日本のビジネス界においては、クライアントの要望を叶えるため、
発注先の業者は、できるだけ早く対応することが求められています。
取引先から、
「明日までに計画書をもってきて!」といわれれば、
「わかりました」と、答えざるを得ないのです。
これも、当然、追加料金を受け取れることはなく、プライスレスです。
わたしたちの社会は、労働生産性の低下と引き換えに、
これらの、きめ細かいサービスを甘受しているわけです。
したがって、労働生産性の見直しについては、
その是非に関して、よくよく考えなければなりません。
元来、働き方改革については、出産・育児、介護との両立など、
ワークバランスの見直しが、主たる目的だったと思うのですが、
電通女子社員の自殺事件を受けて、
いつの間にか、労働時間の短縮に、論点がすり替わってしまった印象があります。
もちろん、人の生命が大事であることには、疑いはありませんが、
過剰な労働制限は、産業の衰退を招くことも、知っておく必要があります。
労働時間の短縮とは、先述のように、
日本の社会が、サービス低下をどの程度、受け入れられるかの問題でもあります。
ヒステリックな反応をして、極端に振れるのではなく、
「日本の良さ」でもある、プライスレスなサービスを、必要な分は残せるよう、
バランスのとれた改革がすすむとよいと思います。
今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。