江戸時代の不動産事情
よしをです。
江戸時代にも、不動産業がありました。
とくに100万都市・江戸の住宅事情は、幕府の管理の及ぶものではなく、
もし、民間の不動産業が有効に働かなかったとすれば、
江戸の町の機能は、正常に成立しなかったことでしょう。
江戸庶民の住まいといえば、いわゆる長屋(ながや)とよばれるもので、
現代でも、古い町並みなどにある、連棟(れんとう)に、
江戸時代からの名残を、みることができます。
江戸の町は、階層によって住居地域が決められていましたが、
庶民の町(町人地)は、面積にして、江戸全体の15%を占め、
人口にして、およそ50万人の庶民が生活し、
そのうち、35万人が、借家暮らしをしていたと推定されています。
長屋は、間口の狭く、奥に長い、
鰻の寝床のような、長い長方形が標準です。
管理人のことを大家、借家人を店子といいます。
現代では、大家とは、物件のオーナーを指しますが、
江戸時代では、オーナーは裕福な町人など、別にいるのが一般的でした。
長屋は、一種の共同体です。
大家が、店子の身元引受人となり、
冠婚葬祭は、長屋全体で執りおこなったりしました。
もし、長屋から犯罪人がでた場合には、
大家が、連帯責任を負わされることもありました。
大家の責任は重大ですが、役得もありました。
長屋の共同便所に溜まった糞尿を売った代金は、
丸々、大家の収入になりました。
さて、長屋の物件を紹介しましょう。
物件は、6畳ワンルーム、もしくは2階建てメゾネットタイプがあります。
キッチンあり、トイレは共同で、
水道(井戸もしくは上水)は、共同ですが、無料です。
風呂はありません(近くに銭湯があるはずです)。
家賃は、一般的な九尺二間のワンルームタイプで、
500文(現代に換算して1万円程度)と、激安です。
入居できるかどうかは、大家が面談をして決めます。
当時は、6畳一間に、家族で生活するケースも多かったようです。
そのような、狭小で不便な物件で生活することなど、
現代では、とても想像できませんが、
江戸時代の人びとは、満足して日々の暮らしを営んでいたのでしょう。
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