高齢者の貧困
よしをです。
高齢者の貧困が、大きな問題になっています。
なぜ、問題が大きくなっているのかといえば、
老後の貧困が、一部の人だけの問題ではなく、
今後は、平均的なサラリーマン生活を送って引退した人にまで、
対象が広がるということなのです。
6月に、新幹線の車内で、
71歳の男性が、ガソリンをかぶって焼身自殺を図り、
巻き添えで、女性の乗客が亡くなったという事件がありました。
事件後の取材で、
この男性が、年金受給額の少なさや、生活の苦しさを訴えており、
普段から、自殺をほのめかしていたことがわかりました。
男性の年金受給額は、月12万円でした。
居住していた、東京都杉並区の生活保護費は14万円ほどで、
年金受給額が、生活保護費を下回っていましたが、
12万円の年金給付金額は、単身者の場合、決して低い金額ではありません。
年金受給額が、生活保護費に満たない分は、追加で給付される制度もあります。
しかし、この男性の年金受給額(12万円)というのは、
計算の仕方によっては、追加を受けられるかどうか、微妙な線なのです。
この男性の場合は、現役時代は25~28万円の月収があり、
30年以上、働いてきた実績があるはずです。
長い年月、まじめに働いてきて、
生活保護に満たないような年金しかもらえないというのは、
本当に気の毒な話ですが、これが、日本の高齢者の現実です。
生活苦を原因として、
万引きやコンビニ強盗など、高齢者の犯罪が増えています。
塀の外にいても生活できないので、意図的に再犯する高齢者もいるといいます。
人生の終わりを刑務所で迎えるというのは、本当に悲惨な話です。
ご先祖様に申し訳ないと思います。
現在、年収400万円の標準的なサラリーマンの場合、
制度が変わらなければ、年金受給金額は、12~13万円程度になり、
ちょうど、この男性と同じぐらいの受給額になるのです。
いま現役で働いている人にも、
この男性のような、不幸な将来が待っているかもしれないのです。
不幸な老後にならないためには、普段から、貯えをしておくことと、
引退後は、年金以外の収入源を、確保しておくことが必要です。
つまり、自分で自分自身を、守らなければなりません。
そして、もっとも肝心なことは、家族の支えが必要だということです。
この男性の例のように、
日本の社会保障制度は、単身者には厳しいのです。
政府は、国民に対して、家庭をもつことが必要なのだ、というメッセージを、
経済面からも訴えているといえるのです。
独身を謳歌している若い人には、
この現実が、なかなか理解されないようですが、
そのときになって後悔しても、もう誰も、助けてくれません。
苦境にあって、頼れるのは、最後は家族です。
今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。