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元横綱 K氏の死

よしをです。

 

先日、実に不愉快な、民放のテレビ番組を観ました。

内容は、ある、元・横綱力士の壮絶な半生を、

夫人へのインタビューを通して伝えるという、

ドキュメンタリーとバラエティの中間ぐらいの番組です。

 

横綱(K氏)は、三重県出身です。

身長2メートルの恵まれた体格で、メキメキと実力を発揮し、

当時、最年少で横綱に昇進します。

ところが、横綱昇進後の成績は、ぱっとせず、

さまざまなスキャンダルを起こし、新人類横綱と呼ばれましたが、

最終的には、所属する相撲部屋でトラブルを起こしてしまい、

相撲界を去りました。

K氏は、引退後、結婚をし、一女をもうけました。

その後、スポーツ冒険家を自称したり、

プロレスに転じて、周囲を驚かせました。

しかし、若い頃からの暴飲暴食や不摂生がたたり、

重い糖尿病を患ってしまいます

あるとき、足の小さなケガから、

足全体に腐敗が広がるという症状が現れました。

重度の糖尿病により、足が壊死しはじめたのです。

足の壊死は両足に広がり、K氏は歩けなくなってしまいました。

医師からは、両足の切断をすすめられますが、

K氏や夫人は拒否しました。

その後も、病状は悪くなるばかりで、

K氏は、度々自殺未遂を図るほど、精神的にも追い詰められました。

体重130キロの巨漢であるK氏を看病することは、並大抵の苦労ではなく、

夫人は、心身ともに限界になり、一家は経済的にも追い込まれ、

長女の進学も、あきらめなければならなくなりました。

やがて、K氏は入院しました。

すぐに寝たきり生活になり、四肢は硬直し、失明してしまいます。

そして、最期のときを迎え、今年2月に、55歳で亡くなったそうです。

 

実は、わたしはK氏と年齢が同じだということもあって、

現役力士のころから、その動向に興味をもっていました。

また、最近亡くなったことをニュースで知り、

あれほどの屈強なK氏が、あっさり亡くなってしまったことに、

驚きの気持ちがありました。

そういえば、最近、K氏のニュースを耳にすることもなかったため、

やはり、力士の宿命ともいえる糖尿病で、

体調を崩していたのではないかと、想像していたところでした。

 

そんな折のテレビ番組でしたので、

K氏が亡くなるまでの、かれ自身と家族の壮絶な戦いに、

想像をめぐらし、

かれの不運は、まるでわが事のように、心に突き刺さりました。

 

ところが、ここからが、この番組の恐るべきところでした。

番組のトーンがいきなり変わり、

K氏の長女が、芸能界にデビューするというのです。

彼女が、この番組を制作しているテレビ局の、

秋からの連続ドラマ出演を目指して、

オーディションを受けたところ、見事に合格したという話題に移りました。

番組のエンディングで、

「〇〇〇よる9時から、〇〇さん主演でお送りするドラマ。ぜひご覧ください」

という司会のコメントを聞いて、わたしは、さすがに怒りを覚えました。

人の死をネタに煽っておいて、

この番組は、ドラマの宣伝が目的だったのです。

 

ここまで、人を小ばかにしたテレビ番組は久しぶりです。

K氏夫人についても、それまでは同情的だったものが、

娘の芸能界デビューを後押しするがために、

K氏の苦しむ姿や、死を利用したのだと考えると、

一気に不快な気分になり、

番組の、あまりの後味の意悪さに、

その晩の寝つきも悪くなってしまいました。

 

わたしは、こういう番組を制作するテレビマンの倫理観を疑います。

 

 

今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。