河川の水難事故の怖さ
よしをです。
わたしは、高校まで、町の中心部に、
大きな河川が流れる、地方都市で育ちました。
市内の小学校では、毎年、夏休み前に、水難への注意喚起があり、
とくに、町の中心部を流れる川(遊泳禁止でした)には、
絶対に近づかないようにという指導がされていました。
それでも、その川では、
数年に1回のペースで、死亡事故が起こっていました。
現在も、ときどき事故の話題を耳にします。
日本の川や海における、過去10年の水難死亡者と行方不明者数は、
年間700~800人程度と、ほぼ横ばいです。
50年前と比較すると、半数程度に減少していますが、
その理由は、川遊びができる河川が減っているからだといわれています。
海と川を比べると、死亡事故の犠牲者数は、(2:1)程度ですが、
中学生以下の子どもに限定した場合、
川の水難事故の方が多くなるということについては、
あまり知られていないかもしれません。
川の事故の特徴は、大体、同じ場所で発生するということです。
川には、落差や岩などの障害物によって、白く泡立つ部分があります。
これをホワイトウォーターといって、空気の泡を多く含んでいるために、
物体の浮力を少なくする効果があるため、危険度が高くなります。
また、岩や人工物、大きな流木など、障害物の周辺には、
リサーキュレーションという、縦回転の渦が巻いていて、
物体を水底へ引っ張る力が働いています。
一旦、これらの場所に入ってしまうと、助け出すことは困難です。
また、瀞(とろ:深い淵)になっている場所には、
表面は水が流れていますが、流れの下に入ってしまうと、
表面の水流とは反して、グルグルと川底を回転する流れが発生しているため、
大人でも浮上することが困難です。
わたしの町の川でも、瀞に沈んだ大人の水死体が、
何週間も上がってこなかったことがあったと聞いたことがあります。
比較的、変化の少ない、海の環境と比較して、
これらの複雑な環境が、川の危険性を大きくしているのです。
海の場合は、子どもが、瀬戸内際で遊んでいて、
溺れることは少ないと思いますが、
川の場合は、足をすくわれた瞬間から、命の危険があります。
流水の水圧は、流れの2乗に比例して増加します。
流れが2倍ならば、水圧は4倍になりますから、
流れの強い渓流などで、膝上ほどの水深があれば、
転んだ場合、大人であっても、すぐに立ちあがることは難しいでしょう。
さらに、川底のコケの生えた石に足を取られ、
パニックを起こすことも少なくないでしょう。
もうすぐ夏休みも終わりますが、絶対に子どもに川遊びをさせてはいけません。
ほとんどの渓流で、遊泳は禁止されていると思いますが、
水際で遊ぶことも、避けてもらいたいと思います。
今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。