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株券にまつわる話

よしをです。
会社法の勉強をしています。
改正以前の商法では、株式会社は株券を発行するのが基本で、
株券を発行しない場合も認める、という規定になっていましたが、
会社法では、逆に、株券の発行を例外事項としています。

したがって現在では、多くの株式会社が、株券の実物をつくらず、
帳簿(おもに電子帳簿)で、株主の状況を把握しています。
また、信託銀行が、株式会社の株式管理をすることも、
一般的になりました。

学習前は、なんとなく観ていただけなのですが、
少し前のハリウッド映画で、銀行強盗が、現金ではなく、
株式会社の株券を強奪するというシーンを思い出して、
不思議に感じています。

強盗団は、銀行の金庫から、数百枚の株券を奪うのですが、
間違いなく、これは換金できません。
犯行後、すぐさま銀行は、会社に、株券が強奪されたことを通報します。
株券には、番号がついていますから、
会社は、当該のナンバーの株券を、停止する手続きをとります。
証券会社や証券取引所にも、当該の株券の番号が通報されます。

おそらく、強盗団が入手した株券は、
自社株といって、市場に出る前の、会社が保有して、
銀行に預けてある自社株です。
株式会社は、資金調達や、買収防止、
あるいは、高騰した株価を下げるためなどに、
自社が所有する株を、市場に出して株価を調整します。
その逆に、市場に出ている株を会社が購入して、
自社株として保有するケースもあります。

株の売買によって、会社の資産が増減しますから、
自社株売買の可否判断は、株主総会における決議の対象になり、
総会の決議を経ていない自社株の売買は、無効です。

強盗犯が、自分でこの株券を市場で換金しようとすれば、
すぐに手が後ろに回ってしまいます。
したがって、かれらは、特定の第三者に譲渡することになりますが、
三者が、たとえ善意(盗難されたことを知らない)だったとしても、
停止された株券を換金することはできません。

株の名義人は会社になっているはずなので、
購入をもちかけられた第三者は、
この株が自社株であることは、容易にわかるはずです。
もっとも、会社の自社株が、大量に市場に出てくるということは、
特別な理由があるはずですから、
強盗から買う前に、当該の株券が有効かどうか、
正常な人間であれば、会社に問い合わせをして確認するはずです。

また、株を売買するためには、名義人の変更手続きが必要です。
名義変更手続きのためには、
名義人である、会社の了解をもらう必要がありますが、
当然ですが、会社は名義変更を認めません。
これは、日本でも西欧でも同じこと。

つまり、強盗団が奪取した株券は、ただの紙切れということです。


今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。