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クルーズ船の政府の対応は間違っていたか

よしをです。
イギリス船籍で、アメリカに本拠を置く外航クルーズ客船、
ダイヤモンドプリンセス号(以下DP号)は、
2014年以降、アジアとオーストラリアでクルーズを運行しています。

DP号で発生した、
新型コロナウイルス(以下武漢肺炎)の集団感染に関する、
日本政府の対応に、注目や批判が集まっていますが、
ここまで判明している事実関係から、何が問題なのか、
病理医学や検疫についてシロウトであることを前提にして、
個人的に推測してみることにします。

船は、横浜港を出発し、
鹿児島、ベトナム那覇、香港に寄港し、
横浜に戻るルートを辿りました。
香港出身の男性が、中国広東省を訪問し、空路で東京に入りました。
その時点で、すでにせきなどの症状がありましたが、
横浜港からDP号に乗船して、症状が悪化しています。
男性は、香港で下船し、医療機関で検査を受けた結果、
武漢肺炎に罹患していたことが判明したのです。

まず、確認しておきたいのは、
感染者の乗船履歴が判明したのち、横浜港に入港するまで、
DP号は、自主的な対応をおこなっていたということです。
おそらく、集団感染の可能性を想定しなかったのでしょう。
感染者を下船させたことで安心して、
横浜港に入港するまで、
船内では、ダンスパーティなどのエンターテインメントや、
バイキング方式の食事が、通常通り提供され続けていました。
その後、二次感染者が現れましたが、
現実問題として、スペースに限りのある船内で、
患者を完全に隔離することは難しく、
乗務員は、食事や清掃などのサービスを維持する必要がありました。

現在、爆発的に肺炎患者が増えているのは、
潜伏期間を勘案すると、横浜入港以前に感染した人びとの多くが、
発症し始めたと考えるのが自然です。
それを裏付けるように、
国立感染症研究所による、現場からの概況の発表(2月19日)によると、
暫定的な結論として、発症が判明している感染者のほとんどは、
日本政府による検疫開始以前に罹患したものだとしています。

最近のマスコミの論調などをみると、
乗員乗客を全員下船させて、
検査をおこなうべきという主張が多いですが、
わたしは、そうは思いません。
解説者やコメンテーターなどは、
想像以上の感染拡大という、結果論で騒ぎ立てているだけで、
現実を直視しようとしていません。
3000人以上の人間を一気に収容できる、
滅菌隔離が可能な個室など、確保できませんし、
それに対応する、感染病専門医の数にも限界があります。

したがって、潜伏期間の病人は、船内で発症させてから、
下船して隔離し、
一定期間、感染が確認されなかった陰性の乗員乗客は、
小分けにして、順次下船して隔離するという方法は、
残酷なようですが、合理的だったと推察します。

当初から、全員下船、全員検査をやらず、
船内待機の方針で臨んだことについては、
ほかの理由もあると考えています。
政府は、DP号の対応に集中することが危険だと考えているのです。
いずれは、国内いたるところで、市中感染が一般的になるため、
医療従事者や病室を、確保しておく必要があるのです。
DP号で、さらに感染が広がったとしても、
とりあえず、船内のパンデミックに留めておけば、
影響は船内に留まり、船外への感染拡大は防げるわけです。

個人的な結論は、
今回の船内汚染の原因は、DP号の対応のミスだということです。
しかし、前述のように、
ひとりの感染者(今後の調査で複数存在した可能性もあります)から、
このような、爆発的な船内パンデミックが発生する事態など、
だれもが予想できなかったわけであり、
DP号の対応を、危機管理意識の脆弱さとして、
一方的に責めるのも酷だと思います。

政府の関係者が、マスクや手洗いなどの対策をしていたにも関わらず、
乗船して数日で発症する事例も現われました。
船内感染を繰り返すことによる、ウイルスの感染力の強化や変質など、
事態は、あらたな展開にすすんでいるのかもしれません。
船内感染で亡くなられた方は、まことに気の毒ですが、
武漢肺炎の感染力の強さや、
有意義な知見やサンプルを得られたことは、大きな収穫です。


今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。