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荒唐無稽な訴訟の罠

よしをです。
武漢肺炎の流行が深刻なアメリカでは、
政府や政府高官から発せられる、中国政府の責任を追及する声が、
日に日に大きくなっています。
さらに、アメリカの諜報機関の情報として、武漢肺炎の流行は、
武漢にある研究所から、ウイルスが流失したことが原因だという噂話が、
現実かもしれないといわれはじめています。
もし、これが事実であれば、中国の罪はとてつもなく大きなものです。

ミズーリ州は、
中国政府の責任を問う訴訟を、アメリカ連邦地裁に提訴しました。
中国政府の感染拡大への対応は怠慢であり、
同州が被った多大な損害に対して、
中国政府は責任をとるべきというのが、同州の主張です。

一般的に、自国の裁判所に対して外国政府の法的責任を問う訴訟は、
主権国家が外国の裁判に服することはないという、
主権免除の原則により、成立しません。
これは、日本の裁判でも同様で、
日本の法律では、外国政府に対する民事・刑事訴訟は、
原告適格を欠くため、裁判が成立せず、却下されることになります。

ちなみに、韓国の裁判所では、慰安婦裁判や徴用工裁判などにおいて、
日本政府に対する損害賠償請求がおこなわれています。
韓国は、日本とほとんど同じ法律体系をもつはずですが、
裁判が成立するというのは一体どんな理屈なのか、まことに不思議です。
当然ながら、この裁判結果に拘束される義務はないので、
日本政府は黙殺しています。

ミズーリ州の訴えの主張が成立した場合でも、
現時点では、勝訴することは難しいと思います。
しかし、アメリカの司法制度には、
他国の政府に対して政治的な責任を問うことはできなくても、
外国政府による商業的な活動や、それにともなう経済的損害を、
主権免除の対象から除外するという、
ウルトラCが用意されているのです。

これには前例があります。
2016年に成立したテロ支援者制裁法によって、
9.11同時多発テロの犠牲者遺族が、
サウジアラビア政府に損害賠償請求することが可能になったのです。
テロ活動が、サウジ政府の商業的活動の一環であるという、
かなりこじつけの主張が認められたわけです。

ミズーリ州の訴えの目的は、
テロ支援者制裁法の武漢肺炎版をつくることなのです。
このような荒唐無稽な裁判が現実化すれば、
アメリカに追随して、他国でも、
中国政府を訴える裁判が続発するかもしれません。

香港の経済誌は、
アメリカのほか、イギリス、イタリア、ドイツ、エジプト、インド、
ナイジェリア、オーストラリアの7か国の政府や民間機関が、
自国の裁判所に、中国政府に賠償金を求める訴訟の準備に入っていると、
紹介しています。
これらの国とミズーリ州の推定賠償金額を合計すると、
賠償額の合計は100兆億ドルを超えるとしています。
日本円に換算すると、なんと1京円になり中国のGDPの7年分に相当します。

パンデミック終息後、世界の中国を見る視線が気になるところですが、
裁判ラッシュはアメリカにとって、諸刃の剣になる危険を孕んでいます。
アメリカの裁判所が、武漢肺炎に関する中国政府の責任を認めたように、
今後、世界中でアメリカ政府を訴える裁判が、
巻き起こる可能性があるのではないでしょうか。
イラク戦争地球温暖化、等々…。
米中ともに、罪多き大国であることには、大きな違いはありません。


今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。