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事故物件の告知義務について

よしをです。
心理的瑕疵物件(いわゆる事故物件)の告知義務は、
いくつか裁判例があり、一定の方向性はあるとはいえ、
その基準は明確ではありません。

2006年、A氏が所有する東京都内のワンルームマンションの室内で、
入居者が自殺しました。
借り手がつかなくなったことや家賃の減額を強いられることになったことから、
A氏は、
「入居者は物件の価値を減じないようにする注意義務があるにも関わらず、室内で自殺したことは、賃借人としての善管注意義務違反だ」と主張し、
その部屋および隣接、上下の部屋の家賃の減額についての責任も含め、
入居者の母親Bと、連帯保証人Cに対して、
損害賠償を求める訴訟を起こしました。
訴訟の結果、東京地裁は、BとCに対して、
連帯して130万円の損害賠償を支払うように命じました。
(隣接、上下の家賃減の責任は問われず)。
こんな訴訟もあるのかと、ある意味感心しました。

さらに、地裁は、当該の部屋に関して、
賃貸人は、事故物件である旨、告知する義務があるが、
一般的に、自殺による嫌悪感は、時間の経過とともに、
のちに賃貸人が居住することにより希釈するものであると指摘し、
事故後に入居した賃借人が退去すれば、
その後の入居募集に告知義務はないと、踏み込んだ発言をしています。

土地の場合はどうでしょうか。
2006年の大阪高裁の判決では、
その土地に過去存在した建物でおきた、重大な殺人事件の場合、
8年以上経過しても、その土地の瑕疵は残ると認定しています。
建物を取り壊せば、心理的瑕疵がなくなるというものでもないようです。

国交省不動産課は、
告知義務に関するガイドラインの策定を目指しています。
心理的瑕疵の告知範囲や、期間などについて議論されるようですが、
高齢者の孤独死などの自然死について、事故扱いにすべきかどうかなど、
個別事情をどのようにまとめるのか、難しいところもあり、
実効性のあるガイドラインになるかどうかは不明です。

東京地裁の裁定のように、
事故物件となったあと、入退去があれば、
それ以降は瑕疵がなくなり、告知義務もないということであれば、
たとえば、短期間の入退去があったように偽装して、
事故物件のロンダリング行為を助長するという指摘もあります。

ネット上では、事故物件を掲示する民間のサイトがあります。
興味半分で忌避物件をさらしている民間サイトが、
不動産売買や賃貸に影響力をもつのは、いかがなものかと思います。
その意味でも、
早急に、国交省ガイドラインの確定が待たれるところです。


今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。