中国の都市問題
よしをです。
もし、この度のウイルス汚染問題がなければ、
武漢がこれほどの大都市であることを知る機会はありませんでした。
中国国内には、武漢のほかにも、
成都、邯鄲、西安といった内陸部の都市の人口が膨張しています。
成都は人口1400万人を有し、
人口1000万人の武漢は、周辺にある100万人以上の複数の都市を含めて、
都市圏人口は5000万人に迫る勢いです。
中国では、14億人が「食べられる」状態から脱し、
数億人単位の中産階級の志向は、生活向上へとシフトしています。
かれらの要求に応えるためには、
生活の舞台となる都市の存在が不可欠です。
中国全土には100万人以上の大都市が65あるといわれていますが、
巨大都市はまだまだ増え続けていくことになりそうです。
中国政府は都市部への人口集中を避けるために、
戸籍の管理を徹底し、農村部から都市部への移動制限をおこなっています。
したがって、もともと都市部に住んでいた人と、農村部の人との間で、
医療、教育、インフラなど、社会サービスに大きな格差が生まれています。
一方で、政府の監視の網をかいくぐって、都市に流入した層が貧困化し、
治安悪化や衛生問題などの社会問題を生んでいます。
たとえば北京では、無戸籍人口が1000万人存在するともいわれ、
政府も全体像を把握しきれていません。
中国では年間10~20万件の暴動が発生しているといわれています。
民衆の不満は官僚の不正や不公平な建設許可、貧困などによるもので、
2012年には日本企業が標的になり、破壊活動の被害を受けました。
中国政府の都市計画が失敗している事例も報告されています。
中国政府が地方における都市建設を奨励した結果、
無軌道で大規模な開発がおこなわれ、
各地にマンションが林立するゴーストタウン(鬼城)が誕生しています。
新華社通信は、各地の鬼城の計画人口を合計すると、
34億人にもなるという試算をしています。
それでも地方政府がマンションを建設し続けるのは、
これらの建築工事によって域内総生産(GRP)が増加し、
中央政府に対して点数が稼ぐことができるからです。
おそらく今後も鬼城の数は増え、地方財政を圧迫する負債になるでしょう。
中国は一人っ子政策の反動で、
日本以上の少子高齢化社会が到来します。
一気に膨張した都市人口は急速に高齢化し、やがて空洞化を迎えます。
数十年後、中国がこの人口問題をどう解決するのか、
わたしには想像ができません。
中国の過去の歴史によれば、民衆の不満が爆発し、
国内に混沌とした状態が訪れ、王朝交代が起きることになっています。
今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。