胃がんとピロリ菌
よしをです。
胃がんは、肺、大腸と並んで、3大がんといわれていますが、
この5年間で、胃がんの死者数が、10%も減少したということです。
わたしも、身内を何人か、がんで亡くしていますので、
大変、喜ばしいニュースです。
その理由は、各種の健康診断で、
胃がんの原因となる、細菌(ピロリ菌)を、
発見する検査が定着したからだといわれています。
ピロリ菌とは、1980年代前半に発見された細菌です。
胃の粘膜に生息する、らせん状の細菌で、
乳幼児期に、飲み水などから感染するといわれています。
胃の内壁に定着したピロリ菌は、
慢性的に、胃の粘膜に炎症をおこし、それが、
胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんの原因になることがわかっています。
胃がんの原因のほとんどが、ピロリ菌感染を主な原因とする、
委縮性胃炎であると判明しているので、
冒頭で紹介したように、
胃がん患者は、これからも劇的に、減り続けていくと考えられています。
「胃がんは、将来的には、ほとんど撲滅できる」、
と主張する医学者もいます。
心強いですね。
感染源は、前述のように、幼児期の飲み水であると考えられています。
ピロリ菌は、衛生状態のよくない飲料水(井戸水や湧き水など)に
生息しています。
大人が菌の入った水を飲んでも、胃酸が退治しますが、
機能が未完成の幼児期の胃に入ると、除菌できないまま、
棲みついてしまうのだそうです。
明治の文豪・夏目漱石は、長年、胃痛に苦しんでいました。
重度の胃潰瘍になり、それが原因で亡くなるのですが、
明治時代の衛生状態を考えると、
かれもまた、ピロリ菌に感染していたのではないか、
と想像してしまいます。
飲み水の衛生状態を反映して、
ピロリ菌の感染率は、年代ごとに高くなっていて、
65歳以上では、80~90%にも達するようです。
衛生状態がよくなるにつれ、感染率は下がります。
現在、幼児の感染率は、5%未満といわれていますから、
次世代の日本人には、
ほとんどピロリ菌感染者はいなくなるでしょう。
しかし、20~30代でも、
20%程度が感染しているということなので、
この世代の皆さんも、
若いからといって、決して安心はできません。
過去10年間の、わが国の調査では、
ピロリ菌に感染している、胃の疾患患者のうち、
胃がんになった人の割合は、約3%と報告されています。
「3%?」
確率が低いように思いますが、注意が必要です。
この調査の母体は、「胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎の患者」であり、
詳しく書きおこしてみると、印象がまったく異なります。
ピロリ菌に感染している、
「胃潰瘍などの患者」(1000人)の中で、
その後、(30人)が胃がんを発症した。
ピロリ菌感染を調べる方法は、以下の通りです。
②尿素子機検査⇒検査薬を服用して、呼気を採取する
③抗体検査⇒血中、尿中の抗体を調べる
④糞便抗原測定⇒糞便中の抗原を調べる
そして、菌を発見してからの治療法は、以下の通りです。
①2週間ほどの投薬治療で、70%以上が除菌
②根治できない場合、さらに別の投薬で、90%以上が除菌
ほとんど①~②で完治するようですが、
まれに耐性菌に当たってしまうと、
治療が長引く可能性もあるようです。
わたしも5年前に受診し、感染していないことがわかりました。
わたしは、内視鏡で検査をしましたが、
胃カメラを使わない検査もありますから、
気軽に受けられますね。
最近は、一般的な健康診断にも、必ずメニューに入っています。
自治体が実施している検診もありますので、
検査をされていない方には、ぜひ足を運んでほしいと思います。
今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。